フリーランスとして独立するとき、まず最初にぶつかる壁が「開業届」と「青色申告承認申請書」です。どちらも税務署に提出する書類ですが、具体的にどうやって書けばいいのか、どのタイミングで出せばいいのか、初めてだと分かりにくいものです。
この記事では、フリーランスエンジニアが個人事業主としてスタートするための流れを、初心者でも理解できるように整理しました。
1. 開業届とは?
「開業届(個人事業の開業・廃業等届出書)」は、税務署に「事業を始めました」と知らせるための書類です。
- 提出期限:事業を開始してから1か月以内
- 提出先:開業した住所地を管轄する税務署
- 罰則:出さなくても罰金はないが、青色申告を使えないなどのデメリットがある
つまり「出さなくても仕事はできる」が、「税制面で損をする」ので必ず提出すべき書類です。
2. 青色申告承認申請書とは?
「青色申告承認申請書」は、青色申告を利用するための申請書です。青色申告をすると、白色申告よりも圧倒的に有利になります。
主なメリットは:
- 青色申告特別控除(最大65万円)が使える
- 赤字を3年間繰り越せる
- 家族への給与を経費にできる(専従者給与)
フリーランスにとって節税効果が非常に大きいため、開業時に必ず申請しておきたい制度です。
3. 提出のタイミング
開業届と青色申告承認申請書はセットで提出するのが一般的です。
- 開業届:開業から1か月以内
- 青色申告承認申請書:開業した年の3月15日まで(もしくは開業から2か月以内)
例えば、7月に独立した場合は9月までに出せば青色申告を使えます。もし出し忘れると、その年は白色申告になり、翌年から青色申告の対象となります。
4. 書き方のポイント
開業届の書き方
- 屋号:任意。なければ空欄でもOK。アプリやサービス名を入れても良い。
- 職業:「ソフトウェア開発」「システムエンジニア」などシンプルに。
- 事業開始日:実際に請求書を発行した日や案件を始めた日で問題ない。
- 収入の種類:「事業所得」を選択。
青色申告承認申請書の書き方
- 事業所等を有する場合:自宅兼オフィスなら住所をそのまま記入。
- 所得の種類:事業所得を選択。
- 簿記方式:原則は「複式簿記」を選ぶ。会計ソフトを使えば初心者でも対応可能。
5. 提出方法
提出は3つの方法があります。
- 税務署に直接持参する
- 郵送する(返信用封筒を同封すると控えが返ってくる)
- e-Taxでオンライン提出する
最近はfreeeやマネーフォワードといった会計ソフトから直接e-Taxで提出できるため、オンラインで完結させる人が増えています。
6. 開業後にやるべきこと
書類を提出したら終わりではありません。個人事業主として運営するために、次の準備も必要です。
- 会計ソフトを導入する
→ 弥生会計、freee、マネーフォワードなど。確定申告が圧倒的に楽になる。 - 事業用口座・クレジットカードを作る
→ プライベートと事業のお金を分けることで記帳がスムーズになる。 - 領収書・請求書の管理
→ 会計ソフトやクラウドストレージを使ってデータで一元管理。 - 税金の積立
→ 収入の30%程度を別口座に移し、所得税・住民税・国保の支払いに備える。
7. よくある疑問
Q. 開業届を出さないと仕事できないの?
A. できます。ただし青色申告が使えず、税金面で損をします。
Q. 屋号は必要?
A. 必須ではありません。請求書に自分の名前だけでも問題ありません。
Q. 副業でも出すべき?
A. 事業として継続性があるなら出すのがおすすめです。会社に副業規定がある場合は注意。
まとめ
フリーランスとして個人事業主になるには、開業届と青色申告承認申請書の提出が最初のステップです。
- 開業届:事業開始から1か月以内に提出
- 青色申告承認申請書:開業から2か月以内 or その年の3月15日まで
- 提出後は会計ソフトや事業用口座を準備して運営体制を整える
この2枚の書類を出すだけで、節税効果が大きく変わり、フリーランスとしての基盤が整います。最初の一歩を踏み出せば、あとは日々の会計管理を積み重ねるだけ。
「ややこしそう」と思いがちですが、実際にやってみると意外とシンプルです。未来の自分のために、独立したら早めに済ませておきましょう。

