フリーランスエンジニアとして案件を獲得する際、多くの人が利用するのが フリーランス専門エージェント です。
エージェント経由なら案件探しや単価交渉、契約締結までをサポートしてくれるため、営業の負担を大きく減らせます。
ただし「エージェントが間に入っているから安心」と油断するのは危険です。契約書には必ず目を通し、重要なポイントを押さえておかないと、後々トラブルにつながることもあります。
本記事では、エージェント経由の案件を受けるときに 必ず確認すべき5つの契約ポイント を解説します。
1. 報酬と支払いサイト
確認すべき内容
- 報酬額(税抜・税込)
- 支払いサイト(例:月末締め翌月15日払い)
- 支払い方法(銀行振込/振込手数料負担者)
なぜ重要か?
フリーランスにとって キャッシュフローの安定 は死活問題です。
支払いサイトが「翌々月末」など長いと、2〜3か月分の生活費を自前で賄う必要があり、資金繰りに苦労します。
エージェントによっては「翌月15日払い」など短い支払いサイトを設定している場合もあります。複数社を比較して、より条件の良いエージェントを選びましょう。
2. 契約形態(準委任契約 or 請負契約)
確認すべき内容
- 契約が 「準委任契約」 か 「請負契約」 か
なぜ重要か?
フリーランス案件では多くが 準委任契約 です。
これは「稼働時間に対して報酬が発生する契約」で、成果物が未完成でも作業時間に応じて報酬が支払われる仕組みです。
一方、請負契約 は「成果物の完成」が報酬条件になります。バグや仕様変更で納品が遅れると報酬が支払われないリスクも。
エージェント経由の案件ならほぼ準委任ですが、まれに請負案件もあるため要確認です。
3. 契約期間と更新条件
確認すべき内容
- 契約開始日・終了日
- 更新の有無と条件(自動更新か/都度合意か)
- 契約終了の通知期限
なぜ重要か?
多くの案件は「3か月ごとに契約更新」といった短期契約です。
もし契約更新が打ち切られる場合、次の案件探しの準備期間が必要になります。
「30日前に通知すれば契約解除可能」などの条項があるかどうかを確認しましょう。通知期間が短いと、いきなり収入が途絶えるリスクが高まります。
4. 成果物・著作権の取り扱い
確認すべき内容
- 納品物の著作権が誰に帰属するか
- 実績として公開可能か(ポートフォリオ利用の可否)
- 再利用や二次利用の制限
なぜ重要か?
エンジニアやデザイナーの成果物には著作権が発生します。
ほとんどの案件では「著作権はクライアントに帰属」となるため問題はありませんが、 「成果物を実績として公開できない」 となると、今後の営業活動に支障が出る場合も。
エージェント案件では標準化されていることが多いですが、念のため確認しましょう。
5. 秘密保持・競業避止義務
確認すべき内容
- 秘密保持の範囲(業務内容、技術情報、顧客情報など)
- 競業避止義務が設定されているか
なぜ重要か?
秘密保持契約(NDA)は必須ですが、競業避止義務が過剰に設定されていると要注意です。
例えば「契約終了後1年間、同業他社の案件を受けられない」といった条項があると、フリーランスとしての活動に大きな制限がかかります。実務に支障が出る条項は交渉して外してもらうのが理想です。
チェックリストまとめ
契約書を受け取ったら、以下の5点を必ずチェックしてください。
- 報酬と支払いサイト → 生活を守るために必須
- 契約形態 → 基本は準委任契約かを確認
- 契約期間と更新条件 → 解除通知期間があるか要チェック
- 成果物・著作権 → 実績利用が可能かどうか
- 秘密保持・競業避止 → 活動の自由を奪う条項がないか
エージェントを活用する安心感
エージェント経由の契約は、直接契約に比べて 標準化された契約書を使う ため安心感があります。
- 報酬未払いリスクが低い
- 契約内容が明確化されている
- 法的に問題がある条項が少ない
ただし「すべて任せきり」は危険です。自分の目で確認する習慣を持つことで、安心して長くフリーランスを続けられます。
まとめ
フリーランスエンジニアがエージェント経由で案件を受けるときは、以下の5つを必ず契約書で確認しましょう。
- 報酬と支払いサイト
- 契約形態(準委任 or 請負)
- 契約期間と更新条件
- 成果物・著作権の扱い
- 秘密保持・競業避止義務
これらを押さえておけば、トラブルの大半は防げます。契約リテラシーを身につけることは、フリーランスとして安定して働くための重要なスキルです。
エージェントに任せきりにせず、自分の目でしっかり契約書を読み解く習慣をつけましょう。

