(フリーランスエンジニアを目指す人へ)
はじめに
フリーランスエンジニアとして活動を始めると、多くの人がエージェントを通じて案件を獲得します。報酬面では安定感があり、営業の手間も減らせる一方で、避けて通れないのが「確定申告」です。
正社員のときは会社が年末調整をしてくれていましたが、フリーランスになると自分で税金や社会保険を管理しなければなりません。特に初めて確定申告をする人にとっては「難しそう」「面倒くさそう」という印象が強いはず。
そこで本記事では、エージェント案件を中心に活動するフリーランスエンジニアが、確定申告をできるだけラクに乗り切る方法を解説します。
1. エージェント案件の収入の扱い
エージェント案件の多くは準委任契約(業務委託契約)です。そのため、毎月の報酬は給与ではなく事業所得として扱われます。
- 契約:個人事業主としてエージェントと業務委託契約
- 報酬:源泉徴収あり or なし(エージェントによる)
- 経理:請求書を発行し、振込を受ける
源泉徴収される場合でも、確定申告で「支払調書」を元に精算する必要があります。源泉徴収がない場合は、自分で納税をコントロールしなければなりません。
2. 確定申告の基本フロー
エージェント案件を含むフリーランスの確定申告は、以下の流れで進みます。
- 売上(収入)の把握
エージェントからの入金額を月ごとに記録。支払調書も活用。 - 経費の整理
PC、ソフトウェア、書籍、通信費、コワーキングスペース利用料などを記録。 - 帳簿作成
青色申告なら複式簿記が必要。ただし会計ソフトを使えば自動化できる。 - 申告書の作成
国税庁サイト(e-Tax)や会計ソフトを利用。 - 提出・納税
2月16日〜3月15日の間に提出し、納税する。
3. ラクにするための工夫
(1) 会計ソフトを活用する
確定申告をラクにする最大のポイントは会計ソフトの導入です。
- freee:初心者でも直感的に使える
- マネーフォワード クラウド確定申告:銀行・クレカとの連携が強力
- 弥生会計オンライン:老舗の安定感
これらを使えば、銀行口座やクレジットカードと連携して自動仕訳が可能になります。手作業でExcelに打ち込むよりも圧倒的に効率的です。
(2) 経費は日々記録する
「あとでまとめて入力しよう」と思うと、1年分を一気に処理することになり大変です。経費は日々記録する習慣をつけましょう。
- クラウドソフトにスマホアプリからレシートを撮影
- クレカ払いに統一して自動取り込み
- 仕事専用カードを作ると仕分けが楽になる
(3) 青色申告を選ぶ
フリーランスになったら必ず青色申告承認申請書を提出し、青色申告にしておくべきです。
- 最大65万円の控除が受けられる
- 赤字を3年間繰り越せる
- 家族への給与を経費にできる
少し複雑ですが、会計ソフトを使えば十分対応可能。節税効果が大きいため、長期的に見て青色申告一択です。
(4) 源泉徴収分を忘れない
エージェント案件では、報酬から10.21%の源泉所得税が引かれている場合があります。確定申告では引かれた分を精算して還付を受けられることも多いです。支払調書や入金明細を必ず確認しましょう。
(5) 税理士に外注する
「時間を取られるくらいならコードを書いて稼ぎたい」という人は、税理士に任せるのも有効です。月1〜2万円程度の顧問料で、仕訳や申告を丸ごと委託できます。エージェント経由の安定案件を持っているなら、コストに見合う価値があります。
4. フリーランスエンジニアに多い経費例
- PC・モニター・周辺機器
- ソフトウェアライセンス(GitHub Copilot、JetBrainsなど)
- 書籍・学習教材・Udemy受講料
- 通信費(Wi-Fi、モバイル回線)
- コワーキングスペース利用料
- 交際費(勉強会や打ち合わせ)
- 業務委託契約に必要な保険料
「これは経費にできるの?」と迷ったら、まずは記録しておくのがコツ。税理士や会計ソフトの仕分けアドバイスで判断できます。
5. 確定申告をラクにする習慣術
- 毎月1回「経理タイム」を設定する
- 仕事専用の銀行口座・クレカを用意してプライベートと分離
- 領収書はアプリで即スキャン
- 会計ソフトを常に同期してリアルタイムで数字を把握
これを徹底すれば、確定申告は「3月に慌てる作業」ではなく、「1年かけて淡々と進めるルーチン」になります。
まとめ
エージェント案件でフリーランスとして活動する場合、確定申告は避けて通れません。しかし、以下の工夫で驚くほどラクになります。
- 会計ソフトを導入して自動化
- 経費を日々記録して溜めない
- 青色申告で節税効果を最大化
- 源泉徴収分を精算して還付を受ける
- 必要なら税理士に外注
フリーランスは「営業・開発・経理」をすべて自分で担う存在です。その中で確定申告を効率化できれば、より多くの時間を開発スキルの向上や案件獲得に使えます。
👉 確定申告は「負担」ではなく「節税チャンス」と考え、早めに仕組み化してしまいましょう。

