はじめに
Pythonは「Webスクレイピング」や「業務自動化」の分野で圧倒的に人気があります。
特に中小企業やスタートアップでは、データ収集や作業効率化を目的にスクレイピングツールや自動化スクリプトを外注する需要が高いです。
フリーランスとしてこうした案件を受ける場合、どれくらいの単価で契約できるのか?
本記事では、スクレイピング案件の報酬相場を、案件規模や内容別にリアルに解説します。
1. スクレイピング案件の代表的な種類
1-1. データ収集・クローリング
- 特定サイトから商品情報や価格データを収集
- 不動産サイト、ECサイト、求人サイトの情報収集
- 定期的に更新してCSVやデータベースに保存
使用ライブラリ例:requests / BeautifulSoup / Selenium / playwright
1-2. 競合調査・価格モニタリング
- EC価格の定期チェック&通知
- 競合サイトの新着情報自動取得
- SEO調査用の検索結果収集
1-3. SNS・ニュース情報の収集
- Twitter(X) / Instagram / YouTube APIやスクレイピングによるデータ取得
- トレンド分析やレポート自動化
1-4. 業務システムのRPA的自動化
- 管理画面からのデータ抽出・入力自動化
- ブラウザ操作の自動ログイン・ファイルDL
- ExcelやGoogleスプレッドシートとの連携
使用ライブラリ例:Selenium / pyautogui / openpyxl / gspread
1-5. 大規模クローリング・データ基盤構築
- 数百万件規模のデータ取得と更新
- プロキシ・IPローテーション・ヘッドレスブラウザを使った耐ブロック設計
- AWS Lambda・GCP Cloud Functionsなどでの自動実行
2. 案件規模別の単価相場
スクレイピング案件は、小規模なスクリプト制作から大規模システム構築まで幅広いです。
フリーランスの単価相場を整理すると以下のようなイメージになります。
2-1. 単発・小規模案件(5万〜15万円)
- 期間:1〜2週間程度
- 内容:
- 特定サイト1〜2ページからのデータ取得
- CSV出力や簡易レポート生成
- ログインや簡単なクッキー処理
- 使用技術:
requests+BeautifulSoupが中心 - クラウドソーシング系で多い価格帯
例:不動産サイトから物件一覧を取得してExcelにまとめる → 8〜12万円
2-2. 中規模案件(月20〜40万円)
- 期間:1〜2か月程度
- 内容:
- 複数サイトからのクローリング
- 定期実行(cronやスケジューラ)
- 簡単なWebダッシュボード構築
- 使用技術:
Selenium/playwright、DB保存(MySQL/PostgreSQL) - エージェント経由の業務委託や直契約で発生しやすい
例:EC競合の価格モニタリングシステムを開発し、毎日Slack通知 → 月30万円
2-3. 大規模・高機能案件(月50〜80万円)
- 期間:3か月以上
- 内容:
- 数十万〜数百万件のデータ取得
- プロキシIPローテーションやヘッドレスブラウザ対応
- クラウド上での自動実行(AWS Lambda、GCP Cloud Run)
- データ分析・ダッシュボード連携まで担当
- 使用技術:
Selenium/playwright/Scrapy+AWSやGCP - スタートアップのデータ基盤構築案件などで多い
例:価格比較サイト向けの大規模クローラー+BigQuery連携 → 月60〜80万円
2-4. RPA寄りの業務自動化(月40〜70万円)
- 社内業務を自動化するスクリプト開発・保守
- 毎日ブラウザからデータをDLし加工 → Googleスプレッドシート更新
- Power AutomateやUiPathと連携するケースも
例:受発注管理を完全自動化+メール送信 → 月50万円+保守費用
3. 案件獲得のポイント
3-1. 要件定義と仕様化が重要
クライアントは「このサイトからデータを取ってほしい」程度のざっくり依頼が多いです。
- HTML構造が頻繁に変わるリスク
- スクレイピング禁止のサイトへの対応(利用規約確認)
- 取得頻度・データ量・保存形式
などをヒアリングして明確に仕様を固めると信頼されます。
3-2. ロバストな設計を提案できると単価が上がる
- エラー時のリトライや通知
- IPブロック対策(プロキシ・User-Agent切り替え)
- 定期実行・クラウドデプロイ
- データの品質チェック
「壊れにくい仕組み」を作れると、単価50万円以上の案件も狙えます。
3-3. 継続保守を提案する
スクレイピングはサイトの変更で動かなくなることが多いです。
月額保守契約(例:月5〜10万円)をセットで提案すると収入が安定します。
3-4. API連携と組み合わせる
最近は公式APIが提供されているケースも増えており、スクレイピング+API連携のハイブリッド対応ができると強いです。
4. 技術スタックとレベル感
初級(小規模案件向け)
requests/BeautifulSoup- CSV出力、簡単なExcel操作
- 単発タスク自動化
中級(中規模案件向け)
Selenium/playwrightで動的ページ対応- DB連携(SQLite, MySQL)
- cronやWindowsタスクスケジューラによる定期実行
上級(大規模案件向け)
Scrapyや非同期処理(asyncio, aiohttp)- クラウドデプロイ(AWS Lambda, GCP Cloud Run)
- エラーハンドリング・ログ管理・モニタリング
5. 単価を上げるためのスキル拡張
- クラウド活用:AWS LambdaやGCP Cloud Functionsでの自動実行
- データベース設計:MySQL/PostgreSQL、BigQueryなど
- 可視化・レポート:Tableau、Google Data Studio
- API化:FastAPI/Flaskで社内向けAPIを提供
- Docker化:環境依存を解消して納品しやすくする
✅ 「スクレイピング+分析+自動レポート」まで対応できると、単発10万円→継続50万円以上の案件に成長します。
まとめ
Pythonによるスクレイピング・自動化案件の単価相場は以下のように整理できます。
- 小規模スクリプト:5〜15万円(単発)
- 中規模システム:20〜40万円/月
- 大規模・クラウド連携:50〜80万円/月
- RPA・業務自動化:40〜70万円/月+保守料
フリーランスとしては、まず小規模なCSV取得や自動化ツール開発から始め、
「エラー耐性・クラウド実装・保守まで対応できる人」へと成長すると高単価案件を狙えます。
✅ 結論:単発スクレイピングで経験を積み、クラウド連携・保守契約まで対応できるようになると月50〜80万円クラスの継続案件を取れる。

