— 案件探しの選択肢を増やし、キャリアを広げるためのリアルな体験談 —
フリーランスエンジニアとして案件を探すとき、エージェントを利用する人は多いと思います。
特に最近はフリーランス向けのエージェントが増え、選択肢が豊富になりました。しかし、
- 「エージェントは1社に絞った方がいいのか?」
- 「複数使うと混乱するのでは?」
- 「同時利用でデメリットはないのか?」
と悩む方もいるでしょう。
筆者は実際に3社のフリーランスエージェントを同時に利用して案件を探した経験があります。
ここでは、その実体験をもとに、複数エージェント活用のメリット・デメリット・実務上の工夫をまとめました。
なぜ複数エージェントを同時に使おうと思ったか
最初は1社だけに登録して案件を探していましたが、次のような課題を感じました。
- 案件の数が少なく、条件に合うものが出てこない
- 単価の相場が分からず、提示された条件が適正か判断できない
- エージェントによって得意な業界・企業が偏っていると気づいた
特に「単価の相場がわからない」という問題は大きく、複数のエージェントから同じスキルセットに対する市場感を聞いて比較したいと考えるようになりました。
複数エージェント利用のメリット
1. 案件の幅が一気に広がる
エージェントごとに得意な領域やクライアント層が異なります。
- A社:スタートアップ・モバイル開発が多い
- B社:大手SIer・エンタープライズ案件が多い
- C社:リモートワークに強いWeb系案件が多い
1社だけだと見えなかった選択肢が、複数登録することで一気に広がりました。
結果的に、自分に合った条件(フルリモート・単価高め・SwiftUI案件)を見つけやすくなりました。
2. 単価交渉の材料が増える
複数のエージェントから提案を受けると、市場価格の相場感が分かります。
- A社:同じ条件で月70万円
- B社:同じ条件で月80万円
- C社:交渉次第で85万円まで可能
このように情報を比較することで、単価交渉がしやすくなりました。
「他社ではこの単価を提示されています」と伝えると、上がるケースもあります。
3. 営業リソースを外注できる
自分1人では営業に限界がありますが、複数エージェントを使えば、それぞれが営業をかけてくれる状態を作れます。
営業工数を減らしつつ、より多くの案件にアクセスできます。
4. エージェントごとの強みを活かせる
- スタートアップとのネットワークが強いエージェント
- 高単価・リードエンジニア案件が多いエージェント
- 英語・海外クライアント案件に強いエージェント
それぞれの特性を組み合わせることで、自分の希望条件に合う案件を探しやすくなります。
複数エージェント利用のデメリット・注意点
1. スケジュール管理が大変になる
面談や案件紹介の調整が増えるため、時間の管理が必要です。
複数社から次々に案件が来ると、整理が追いつかなくなることもあります。
対策
- GoogleカレンダーやNotionで「案件候補リスト」を作る
- 案件情報(単価・条件・エージェント担当者)を一元管理する
2. 同じ案件を別エージェントから紹介されることがある
特に有名企業の案件は、複数のエージェントが同時に取り扱っていることがあります。
別ルートで応募するとトラブルになるため注意が必要です。
対策
- 応募前に「この案件は他から紹介されていないか」を確認する
- すでに応募している案件は記録しておく
3. エージェント同士の関係性に気を遣う必要がある
エージェントは自社の利益を守るため、他社経由で決まると不満を持つこともあります。
無用なトラブルを避けるため、同じ案件を複数エージェントに同時応募しないことが大切です。
4. 担当者とのやり取りが増える
各エージェントの担当者とコミュニケーションを取る必要があります。
条件変更や辞退の連絡を忘れると信頼を損なう恐れがあります。
対策
- 返信は早めに
- 他社で決まった場合は丁寧にお断りする(将来の関係維持のため)
実際にやってみて良かった運用の工夫
■ 案件管理用のスプレッドシートを作る
| エージェント | 案件名 | 単価 | 稼働条件 | 面談日 | 状態 |
|---|---|---|---|---|---|
| A社 | iOSアプリ開発 | 80万 | 週3リモート | 3/10 | 提案中 |
| B社 | フロント開発 | 75万 | 週5常駐 | 3/12 | 辞退 |
| C社 | 海外案件 | $6,000 | 週4リモート | 3/15 | 面談予定 |
このように整理すると、混乱せずに進められます。
■ 条件の優先順位を明確にする
「フルリモート」「単価80万円以上」「週3〜4日稼働」など、自分の希望条件を最初に決めておくと判断がブレません。
■ 決まったら他社には早めに連絡
「今回はこちらの案件に決めました。またご相談させてください」と伝えると、将来また紹介してもらいやすくなります。
エージェント選びのポイント
- 得意分野を確認する(Web系 / モバイル / インフラ / AI など)
- リモート・週2〜3案件の扱いがあるか
- マージン率や単価の透明性があるか
- サポート体制(契約・税務・海外送金など)
口コミやSNSの評判も参考になりますが、最終的には自分で話してみて信頼できるかが重要です。
まとめ:複数エージェント利用は「情報の非対称性」をなくす武器
- 複数エージェントを使うと、案件の幅が広がり、市場価格の相場が見える
- 単価交渉や条件比較がしやすくなり、より良い案件を獲得できる
- 一方で、スケジュール管理や同一案件の重複応募には注意が必要
- 案件管理表を作り、条件を整理しながら進めると混乱を防げる
- エージェントとの関係を良好に保つため、丁寧なコミュニケーションが大切
筆者の結論としては、フリーランス初期は1〜2社に絞って慣れ、慣れてきたら3社程度に増やすのがバランスが良いと感じました。
エージェントは営業の外注パートナーです。
上手に使えば、自分の希望条件に合った案件を効率的に探せるようになります。
情報の非対称性をなくし、より有利な条件で働くために、複数エージェント活用をぜひ検討してみてください。

