— フリーランスエンジニアが学んだコミュニケーションの大切さ —
フリーランスとして活動していると、リモートワークは大きな魅力の一つです。
場所を選ばず、柔軟に働ける一方で、チームに馴染めず孤立するリスクもあります。
今回は、筆者が実際に経験した「リモート案件でチームにうまく溶け込めなかった失敗談」と、そこから学んだ改善ポイントを共有します。
プロジェクトの概要
筆者は当時、フルリモートで稼働するモバイルアプリ開発の案件を受けました。
- 契約形態:週4〜5日の準委任契約
- チーム構成:日本人エンジニア3名、PM1名、デザイナー1名
- ツール:Slack、Zoom、GitHub、Jira
- 開発内容:iOSアプリの新機能追加と既存コードの改善
リモート案件の経験はそれなりにあり、自分のタスクを黙々とこなすことに慣れていたため、特に不安は感じていませんでした。
なぜ馴染めなかったのか — 振り返り
1. 初期コミュニケーションを軽視した
プロジェクト初日にオンボーディングミーティングはありましたが、自己紹介は簡単に済ませただけ。
「早く仕事に取りかからなきゃ」と思い、雑談や関係づくりを後回しにしてしまいました。
結果、他のメンバーが軽く雑談したり意見交換するSlackスレッドに入りづらくなり、
技術的な質問をするときも心理的ハードルが高くなってしまいました。
2. タスク中心で、背景理解を怠った
割り当てられたチケットだけをこなすことに集中し、なぜその機能が必要なのか、どんなユーザー体験を目指しているのかを深く理解しませんでした。
そのため、仕様の不明点を質問するときも的を射ない質問になり、
「背景を理解していない」と感じられたのか、PMや他のメンバーからのレスが淡泊になっていった印象があります。
3. 同期コミュニケーションを避けすぎた
リモートワークではテキスト中心で済ませがちです。
「Zoomで確認した方が早いかな?」と思いつつも、相手の時間を奪うのが申し訳なくて、Slackメッセージで済ませていました。
結果、細かいニュアンスが伝わらず、誤解したまま進めてしまうことが増えたのです。
4. 自分から情報を発信しなかった
進捗や問題点を自分から積極的に共有せず、タスク完了時だけ報告していました。
「順調そうに見えるけど、実際どうなんだろう?」と不安を与えていたかもしれません。
チームの反応とプロジェクトの結果
- 徐々にSlack上の会話に呼ばれなくなり、雑談や設計議論がクローズドになっていった
- レビューで指摘が増えたが、背景の説明がなく、淡々と「修正してください」とだけ書かれることが多くなった
- 3か月の契約更新時に「契約を延長しない」と伝えられ、結果的にフェードアウトする形で終了
タスクは一応こなしていたものの、チームの一員として信頼を築けなかったことが大きな原因でした。
学んだことと改善ポイント
1. 初期の関係構築は大事
リモートでも最初の数週間でどれだけ信頼関係を作れるかが重要です。
- オンボーディング時は自己紹介+これまでの経験をしっかり共有
- Slackでも簡単な雑談に参加してみる
- 「◯◯の仕様を学んでいます」「これから着手します」と軽く発信
「自分はオープンで話しかけやすい人」だと示すのが大切だと痛感しました。
2. タスクの背景を理解する
与えられたチケットだけに集中するのではなく、
- なぜこの機能が必要なのか
- ユーザーやビジネスへの影響は何か
- 技術的な制約はあるか
を意識して質問したり、ミーティングで確認するようにしました。
背景を理解するとレビュー時にも建設的な意見ができ、「チームの一員」として認められやすくなります。
3. 非同期と同期をうまく使い分ける
Slackで伝わりづらいと感じたら、5分でもZoomをお願いする勇気を持つこと。
「少し口頭で確認してもいいですか?」と聞くと意外と快く応じてもらえます。
4. 進捗共有をこまめに行う
- 「今日はここまで進みました」
- 「この部分で少し詰まっています」
といった小さな共有でも、チームは安心します。
筆者はその後、毎朝か毎週1回の進捗共有を習慣化することで改善できました。
5. オンラインでも「見える化」する
- NotionやTrelloでタスク状況を更新
- GitHub Issueを細かく整理
- PRに背景や考え方を丁寧に書く
これにより、非同期環境でも信頼を築きやすくなります。
その後の変化
この失敗を経て、次の案件からは次のように意識を変えました。
- 最初の1週間でできるだけミーティングに顔を出す
- 雑談スレッドや雑記チャンネルに軽く参加
- PRやタスク管理を通じて自分の考えを可視化する
- 「同期の方が早い」と感じたら迷わずミーティングを依頼
結果、以降のプロジェクトでは 「リモートでも安心して任せられる人」 と評価されるようになり、長期契約や単価アップにもつながりました。
リモートで馴染むためのチェックリスト
- 初日に自己紹介をしっかりする
- タスクの背景・目的を理解してから着手する
- 進捗をこまめに共有する
- Slackだけで伝わりにくい時はすぐZoomを提案する
- 雑談や非公式なコミュニケーションにも少し参加する
- PRやドキュメントを丁寧に書く
このチェックリストを意識するだけでも、孤立リスクを大きく減らせます。
まとめ
- リモート案件は自由度が高い一方で、意識的に関係構築をしないと孤立しやすい
- 自分の失敗は「初期のコミュニケーション軽視」「背景理解不足」「非同期依存しすぎ」だった
- 改善策は
- 初期の自己紹介・雑談参加
- タスクの背景を理解
- 同期コミュニケーションをためらわない
- 進捗共有と可視化を習慣化する
フリーランスは成果を出すだけでなく、チームの一員として信頼を築く力が大切です。
孤立を避けるためには、技術力以上にコミュニケーションへの意識が欠かせないと実感しました。
リモートでうまくやれていないと感じている方は、まず小さな自己開示と進捗共有から始めてみると、チームとの距離がぐっと近づくはずです。

