複数案件掛け持ちで収入が2倍になった話

📈 体験談・ケーススタディ編

— フリーランスエンジニアが仕事を増やすときに考えたこと —

フリーランスエンジニアとして独立した当初、筆者は1つの案件に専念していました。
フルリモート・週5稼働で安定はしていたものの、**「単価を上げるか、収入を増やす手段はないか」**と考え始めました。

そこで試したのが、複数案件の掛け持ちです。
結果、半年後には収入がほぼ2倍になり、仕事の選択肢が広がりました。
この記事では、その体験をもとに「掛け持ちで収入を増やすための工夫」と「リスク管理のポイント」を紹介します。


なぜ掛け持ちを考えたか

フリーランスになって1年目、1社の業務委託案件だけで生活していました。
当時の課題は次の通りです。

  • 単価が固定され、上がりにくい
  • 案件終了のリスクが常にある
  • 新しい技術に触れる機会が限られる

単価交渉もしましたが、1社依存だと強気に出にくく、条件の改善にも限界がありました。
「ならばもう1つ案件を取って、時間を分散した方が収入が伸びるのでは」と考えたのが始まりです。


掛け持ちを実現するためにやったこと

1. 稼働時間の見える化と調整

まず、現在の案件の稼働時間を正確に把握しました。

  • 実際には「週5契約」でも稼働時間が35時間程度に収まっていた
  • ミーティングは週2回、納期ベースの仕事が多い

この余白を活かせば、週2〜3日分の別案件を受けられると判断しました。

2. スキルの棚卸しと市場調査

  • SwiftUI/iOSアプリ開発
  • API連携・広告実装(AdMob)
  • ASOや多言語対応

これらを整理し、週2〜3日稼働のモバイル案件を中心に探すことに。
同時にエージェントやフリーランス求人サイトで稼働量と単価の相場を調べました。

3. 複数エージェントに登録

1社だけでは希望条件の案件が見つからなかったため、複数エージェントを同時活用しました。
結果、以下のような案件を紹介してもらえました。

  • A社:週5、月80万円(既存のメイン案件)
  • B社:週2、月30万円(iOSアプリの新機能開発)

週7相当にはなりますが、メインはフルリモートかつ稼働が柔軟だったため両立できました。


掛け持ちで得たメリット

1. 収入がシンプルに増えた

週5だけのときは月80万円でしたが、週2案件を追加して110万円に
半年後には別案件を週3に増やし、最大で月160万円まで伸びました

2. 単価交渉がしやすくなった

複数案件を持つことで「この条件が合わなければ別の仕事を選べる」という立場に。
結果的に、既存クライアントに単価を上げてもらうこともできました。

3. 技術の幅が広がった

複数のプロジェクトで異なる技術に触れられるのは大きなメリットです。
メイン案件ではSwiftUI、サブ案件では海外向けASOや広告実装を担当し、ポートフォリオが一気に充実しました。

4. リスク分散になる

1社依存だと、契約終了=収入ゼロの危険があります。
掛け持ちなら、片方が終了しても収入が半減するだけで済み、精神的に安定しました。


掛け持ちのデメリットと対策

1. スケジュール調整が大変

ミーティングやリリースタイミングが重なるとパンクしかねません。

対策

  • カレンダーを統合管理(Googleカレンダー+リマインダー)
  • メインとサブでミーティング曜日をずらすよう交渉
  • 納期は余裕を持って申告する

2. 労働時間が増えて疲れる

当初は週7日稼働になりがちで、体力的にきつい時期がありました。

対策

  • 稼働量を週5+週2程度に抑える
  • 週3+週3ではなく、週5+週1〜2の方が両立しやすい
  • オフ日を1日は確保するようクライアントと調整

3. 情報管理のリスク(機密保持)

複数クライアントのプロジェクトを同時に扱うと、情報混在や誤送信のリスクがあります。

対策

  • SlackやGitHubのワークスペースを分ける
  • 個人用パソコンと業務用を分けるか、ブラウザプロファイルを使う
  • NDA(秘密保持契約)の範囲を確認し、競合案件を避ける

4. 請求や契約管理が複雑になる

複数クライアントへの請求書発行・入金確認が面倒になります。

対策

  • 会計ソフト(freee・Money Forward)で一括管理
  • 請求書テンプレートを統一し、月末にまとめて処理する

掛け持ちを成功させるコツ

  1. 最初は小さな案件から始める
    → 週1〜2日程度のタスクベースからスタートすると無理がない。
  2. クライアントに稼働条件を明確に伝える
    → 「週◯日稼働、ミーティングは◯曜日なら参加可能」と最初に伝えておくと安心。
  3. 納期と優先順位を管理する仕組みを作る
    → Notion/Trelloでタスクを整理。デッドラインを一目で把握。
  4. 契約書を確認して副業・競業制限を避ける
    → 複数案件を同時に進めるときは、競合禁止や副業禁止条項がないか必ず確認する。
  5. キャパオーバーしそうなら早めに相談する
    → 納期遅延よりも、早めの調整連絡の方が信頼を保てる。

掛け持ちを始めるタイミング

  • メイン案件の稼働が実質40時間未満になっているとき
  • 収入の伸びが頭打ちになったとき
  • 新しい技術を実務で使いたいとき

最初からフルタイム2社は難しいので、週5+週1〜2の追加から始めるのがおすすめです。


まとめ

  • 複数案件を掛け持ちすることで、収入は確かに増やせるし、リスク分散にもなる
  • ただし、スケジュール調整・体力管理・秘密保持・請求管理などの課題がある
  • 成功のコツは
    • 小規模から始める
    • 稼働条件を明確に伝える
    • タスクとカレンダーを徹底管理
    • 契約内容(副業・競業制限)を必ず確認する
  • 慣れてくると、単価交渉も有利になり、キャリアの幅が広がる

筆者はこの方法で、1社依存から抜け出し、収入をほぼ2倍にできました
同時に精神的な安定も手に入れ、「もし1社が終わっても大丈夫」という自信が持てるようになったのは大きな収穫です。

フリーランスとして収入やキャリアの幅を広げたいなら、リスクを理解したうえでの掛け持ちはとても有効な選択肢です。

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