― 「知らなかった」では済まないリスク管理 ―
はじめに
副業解禁が広がったとはいえ、
まだまだ副業禁止を明確に掲げる企業は存在します。
一方で、フリーランス案件は
副業として受注する会社員が増えています。
そこで問題になるのが、
✅ 副業禁止企業の社員が、フリーランスとして案件を請けてしまうこと
これは、
本人・クライアント双方にリスクがある行為です。
今回は、
副業禁止企業との契約において、
フリーランス側が注意すべき実務的なポイントを整理します。
まず知っておきたい「副業禁止」の本質
副業禁止規定の意図は、
- 労働時間管理(長時間労働防止)
- 情報漏洩リスク
- 本業への支障防止
- 競業避止
などを守るために存在します。
つまり、
✅「ルールだからダメ」ではなく、
✅「本業に悪影響が出ることがダメ」
という考えが背景にあります。
ケース① 本業は副業禁止/副業として発注する場合
もっとも多いケース。
この場合、特に注意すべきなのは👇
✅1. 契約形態を明確にする(雇用NG)
雇用契約だと「本業との兼業」になり、
重大な就業規則違反になることも。
▶ 選ぶべきは
業務委託契約(請負または準委任)
✅2. 支払いの流れを透明化する
- 個人の銀行口座
- 源泉徴収の取り扱い(税務リスク)
税務署経由で会社にバレる可能性もあるため
透明な会計処理が必要。
✅3. 本業の業務時間と明確に分ける
平日日中に副業稼働していることが発覚すると
規定違反とされる可能性が高い。
✅ 稼働時間・連絡時間帯の線引きが必須
✅4. 本業と同じ業界・技術はNG
競業避止義務に抵触する可能性。
例:
本業:医療向けAI
副業:医療AIスタートアップ → ✕ 限りなく黒
ケース② クライアント側が副業禁止企業である場合
フリーランス側はOKでも、
クライアント社員が副業禁止の場合、
倫理・法務リスクが発生します。
✅ 本業の設備や資料を使っていないか
✅ 本業の顧客情報を流用していないか
✅ 本業時間に作業していないか
少しでも怪しければ、
案件自体が違法性を帯びます。
重要なのは、
✅「うちは知らない」では済まない
ということです。
フリーランスはクライアントにも
コンプライアンス遵守を求める責任があります。
契約書で確認すべきポイント
以下は必ずチェック👇
| 条項 | 確認ポイント |
|---|---|
| 契約形態 | 業務委託契約であるか |
| 秘密保持 | 本業情報の流出に注意 |
| 競業避止 | 本業と関連しない領域であるか |
| 稼働時間 | 労働時間管理に抵触しないか |
| 知財の帰属 | 本業に帰属しないか明確に |
フリーランスといえど、
不正競争防止法や労働関連法の対象になることもあります。
契約前に確認しておくべきこと(フリーランス側)
✅ 相手の所属企業が副業禁止か
✅ その企業が求めるコンプライアンス要件
✅ 情報漏洩リスクの説明責任
✅ 書面での同意・証跡の確保
✅ “黙認”で受ける仕事は最も危険
本人任せにせず、
契約書と説明責任で担保する必要があります。
実際のトラブル例(よくあるパターン)
- 本業情報を活用して成果物を作ったと疑われる
- 退職後に副業が発覚し、損害賠償請求
- クライアント側社員が懲戒処分
- 契約破棄・報酬未払い
特に「合法“っぽい”がグレー」な状態は
後に一気にリスクが跳ね上がります。
トラブルを避けるためのフロー(おすすめ)
以下の順で確認していくと安全👇
1️⃣ クライアント企業の副業規定確認
2️⃣ 競業避止対象外か判断
3️⃣ 稼働時間帯のすり合わせ
4️⃣ NDA(秘密保持)と契約書整備
5️⃣ 証跡残し(Slack、メールなど)
6️⃣ 不安要素は事前に書面で合意
✅「合意していないこと」は全てリスク
それでも微妙な場合の対応策
- エージェントを挟む(コンプラ整理やりやすい)
- 法人格を持つ(一部リスク軽減)
- 競合領域から離す方向で業務調整
「やらない」という選択肢も
当然検討すべきです。
決して“副業を否定している”わけではない
副業は、
- スキルの幅を広げる
- キャリアのリスク分散
- 将来の独立準備
にとても有効です。
ただし、ルールがあるなら
守った上で挑戦することが前提。
その姿勢自体が
長期的に自分を守る結果になります。
まとめ:安全に働くために「知る」「確認する」「証跡を残す」
副業禁止企業との契約は、
注意を怠ると自分だけでなく
クライアントも不幸にする可能性があります。
- 知る(規定と法務リスク)
- 確認する(契約内容と業務内容)
- 証跡を残す(後から説明できる形)
この3つを徹底することで
安心して副業に取り組めます。
✅ 自由に働くためには、自由を守る知識が必要
安全な副業の進め方を身に付けて、
より良いキャリアを築きましょう。

