ここ数年、食料品・光熱費・通信費・保険料など、あらゆる支出が上昇しています。
「収入は増えないのに、出ていくお金だけ増えている」――
そんな感覚を持つフリーランスも多いのではないでしょうか。
特にフリーランスは、会社員と違い昇給や賞与がありません。
自分の収支を守る力がそのまま“生存力”になります。
この記事では、物価高時代を乗り切るための「サバイバル家計術」を、
フリーランスエンジニアの視点でわかりやすく解説します。
1. 「支出の最適化」が最大の防御
物価が上がるとき、最も早くできる対策は「支出の見直し」です。
節約というよりも、“支出効率のチューニング”と考えるのがポイントです。
支出を3つのカテゴリに分けて整理します。
- 固定費:毎月自動で出ていくもの(家賃、保険、通信費など)
- 変動費:月ごとに調整できるもの(食費、交際費、学習費など)
- 投資費:将来リターンを生む支出(ツール、教材、健康管理など)
このうち、最優先で見直すべきは「固定費」です。
固定費を1万円下げることは、毎月1万円の収入増と同じ効果があります。
2. 固定費カットの具体的アクション
家賃
全支出の中で最も大きい固定費。
住居を「利便性」だけで選ぶと高コストになります。
・リモートワーク中心なら郊外や地方も検討
・更新時に家賃交渉(2〜3%下がることも)
・シェアオフィスやコワーキング併用でワンルームを小型化
月2万円の家賃削減は、年間24万円のキャッシュ確保です。
通信費
格安SIMや光回線のプラン見直しで、毎月数千円の節約が可能。
・通信量を計測して最適プランを選ぶ
・テザリング・ポケットWi-Fiを併用して一本化
特にテレワーク主体の人は、「仕事用」と「私用」を統合すると管理が簡単になります。
保険料
保険は“入りすぎ”が一番のムダ。
・医療保険よりも貯金を優先(生活防衛資金を先に)
・フリーランスなら「県民共済+掛け捨て最低限」で十分
3. 変動費を「満足度ベース」で再設計
食費や趣味費は無理に削るとストレスが爆発します。
大事なのは「支出=満足度」を最大化することです。
食費
外食を減らすだけでは続きません。
・1週間単位でまとめ買い&作り置き
・UberEatsより“自炊+惣菜ミックス”
・栄養とコスパを両立(冷凍野菜・業務スーパー)
月4万円→3万円に抑えるだけで、年間12万円の改善です。
趣味・交際費
楽しみを削るのではなく「価値の薄い出費」を減らす。
・SNS疲れの飲み会より、1人カフェや旅行へ
・サブスクは“1in1outルール”で管理(1つ増やしたら1つ解約)
・本は紙よりKindle Unlimitedや図書館を活用
4. 「価格転嫁できない」時代の収入防衛術
物価が上がっても、フリーランスの報酬単価は簡単に上がりません。
だからこそ、収入の安定源を複数持つことがサバイバルの鍵です。
1. 複数クライアント戦略
単一クライアント依存は危険。
2〜3社と契約し、万一の案件終了にも耐えられる体制を。
1社減っても即ゼロにならないのが強みです。
2. スキルアップで単価アップ
AI・クラウド・自動化・UI/UX設計など、需要が伸びる領域のスキルを磨く。
同じ作業時間でも単価を1.2倍にできれば、インフレに打ち勝てます。
3. 収入の“定常化”
・アプリ収益やストア販売
・技術ブログの広告収入
・Udemyやnoteなどの講座販売
「毎月入る小さな定期収入」があるだけで、心理的な安心感が全く違います。
5. 「キャッシュフロー表」で将来を見える化
インフレ時代に最も怖いのは、“無自覚な支出の増加”です。
そこでおすすめなのが、月次キャッシュフロー表を作ること。
例:
| 月 | 収入 | 支出 | 残高 | コメント |
|---|---|---|---|---|
| 4月 | 600,000円 | 420,000円 | +180,000円 | 固定費削減成功 |
| 5月 | 500,000円 | 470,000円 | +30,000円 | 案件減+食費増 |
| 6月 | 620,000円 | 430,000円 | +190,000円 | 新案件開始 |
数字を“見える化”するだけで、浪費のパターンが明確になります。
Googleスプレッドシートで十分。
「予算」「実績」を並べて比較するのがポイントです。
6. “貯める力”と“備える力”を両立させる
物価高の時代に安心して生きるには、
節約だけでなく、将来の支出に備える力も必要です。
生活防衛資金を6か月分確保
前の記事でも解説した通り、収入ゼロでも半年生き延びられる資金。
不安定な時期でも冷静に動けます。
税金・保険・年金積立を分離
報酬の20〜25%を別口座に移しておく。
「納税ショック」を防ぎ、手元資金を守れます。
小規模企業共済・iDeCoで節税しながら貯蓄
掛金全額が所得控除になるため、節税と老後資金形成を同時に実現。
「将来の生活防衛資金」としても機能します。
7. メンタル的な“浪費トリガー”を断つ
物価上昇で不安が高まると、人は「ストレス消費」に走ります。
しかし、買い物や外食では根本的な安心は得られません。
対策はシンプルです。
・支出前に「これは必要か」「満足度はいくつか」と一呼吸置く
・1週間“買わないチャレンジ”を試す
・買うより「作る・整える・手放す」にシフト
“お金で不安を紛らわせない”習慣が、長期的な安定を生みます。
8. 「物価高でも苦しくならない」家計の構造とは
理想的なフリーランス家計の構造は以下の通りです。
| 項目 | 割合 | コメント |
|---|---|---|
| 生活費(家賃・食費・光熱費など) | 50〜60% | ここを圧縮できるほど強い |
| 貯蓄・積立 | 20% | 税金・防衛資金・将来資産 |
| 自己投資 | 10〜15% | スキル・健康・ツールなど |
| 娯楽・自由費 | 10% | メンタル維持のために必要 |
このバランスを維持できれば、物価が上がっても家計が崩壊しません。
「収入を上げる前に、支出をデザインする」ことが最優先です。
9. 未来の不安を“行動”で小さくする
インフレや景気変動は、自分ではコントロールできません。
しかし、自分の行動と設計は変えられます。
- 支出を見直す(まずは固定費)
- キャッシュフローを可視化する
- 生活防衛資金を作る
- 収入源を分散する
- 自己投資を続ける
この5つを実践するだけで、
どんな経済環境でも「折れない家計」を作ることができます。
10. まとめ:生き延びる家計は“シンプルで仕組み化された家計”
物価高の波を完全に止めることはできません。
しかし、“波の上でバランスを取る”ことはできます。
・固定費を下げて出血を止める
・変動費を満足度基準で選ぶ
・収入源を複線化してリスクを分散
・自動積立と防衛資金で不安を減らす
サバイバル家計とは、節約でも我慢でもなく、
**「自分のルールでお金を動かす力」**のことです。
この力を身につければ、物価が上がっても、経済が揺れても、
あなたの生活と心は揺らぎません。
今日から一歩ずつ、“強い家計”を育てていきましょう。

