はじめに
フリーランスエンジニアとして独立すると、必ず必要になるのが「請求書」です。会社員時代は給与明細を受け取る側でしたが、フリーランスになると自分がクライアントに対して請求書を発行し、報酬を受け取る立場になります。
しかし、初めて請求書を作るときは「どんな項目を入れればいいのか?」「フォーマットは自由なのか?」「税金や源泉徴収はどう書くのか?」など、疑問が次々に湧いてくるはずです。
この記事では、フリーランスエンジニアとして必要な請求書の基本構成から、注意すべきポイント、ラクに作成するためのツールまでを徹底解説します。これを読めば、自信を持って請求書を作成できるようになるでしょう。
1. 請求書に必ず書くべき基本項目
請求書は法律で細かくフォーマットが決まっているわけではありません。ただし、ビジネス上必要とされる基本項目はほぼ共通しています。
必須項目
- タイトル:「請求書」
- 請求書番号:通し番号(例:2025-001)
- 発行日:請求書を作成した日付
- 支払期日:入金をお願いする期限
- 請求元情報(あなた自身)
- 名前または屋号
- 住所
- 電話番号・メールアドレス
- 振込口座情報(銀行名・支店名・口座番号・口座名義)
- 請求先情報(クライアント)
- 会社名
- 部署名・担当者名
- 住所
- 請求内容(品目・作業内容)
- 案件名、作業期間、納品物など
- 単価 × 数量
- 小計
- 消費税:課税事業者であれば記載必須
- 源泉所得税:必要な場合に記載(例:システム開発など)
- 合計金額
これらが網羅されていれば、請求書として成立します。
2. 消費税とインボイス制度への対応
2023年10月から始まったインボイス制度により、請求書に記載すべき内容が一部強化されました。
適格請求書(インボイス)の要件
- 適格請求書発行事業者の登録番号
- 税率ごとに区分した消費税額
- 請求書番号の連番管理
フリーランスエンジニアでも、課税売上が1000万円を超える見込みがある場合や、クライアントから登録を求められる場合はインボイス対応が必要になります。副業レベルで売上が少ない場合は免税事業者のままでも構いませんが、エージェント案件などでは「登録必須」とされるケースも増えてきています。
3. 源泉徴収の扱い
フリーランスエンジニアがエージェントや企業と契約する場合、報酬から源泉所得税(10.21%)が差し引かれることがあります。
請求書の書き方例
- 報酬:¥500,000
- 消費税(10%):¥50,000
- 源泉所得税:▲¥51,050
- 請求金額:¥498,950
このように、源泉徴収がある場合は「差引後の金額」を最終的な請求額として記載します。
4. 実際のフォーマット例
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【請求書】 請求書番号:2025-001
発行日:2025年9月21日
支払期日:2025年10月末日
請求先:
株式会社〇〇〇〇
システム開発部 ご担当者様
請求元:
フリーランスエンジニア 山田太郎
〒123-4567 東京都〇〇区〇〇1-2-3
TEL: 090-xxxx-xxxx / Mail: xxx@example.com
振込先:〇〇銀行 〇〇支店 普通 1234567 ヤマダタロウ
件名:アプリ開発業務委託料(2025年9月分)
内容:
- iOSアプリ開発作業(週3日稼働 × 4週間) ¥500,000
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小計:¥500,000
消費税(10%):¥50,000
源泉所得税:▲¥51,050
合計請求額:¥498,950
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5. 請求書をラクに作る方法
(1) テンプレートを使う
WordやExcelのテンプレートを一度作っておけば、毎月修正するだけで請求書が作れます。
(2) クラウド請求書サービス
- freee
- マネーフォワード クラウド請求書
- Misoca
これらを使えば、ブラウザ上で簡単に請求書を作成・送付できます。過去の履歴管理や自動計算も便利です。
(3) 会計ソフトとの連携
請求書発行と同時に売上が帳簿に自動反映されるので、確定申告の手間が大幅に減ります。
6. トラブルを防ぐ注意点
- 支払期日を必ず明記(遅延防止)
- 銀行口座情報は間違えない
- 請求書番号を管理(後で確認しやすい)
- メール送付後は到達確認
特に支払期日の書き忘れは多いミスなので注意しましょう。
7. フリーランスエンジニアならではの工夫
- 複数案件を掛け持ちする場合は案件名を必ず明記
- 納品型案件なら「作業期間」「納品日」を書いて信頼性アップ
- 海外クライアント向けには英語請求書も準備しておくと便利
まとめ
請求書はフリーランスにとって「お金を受け取るための公式文書」であり、信頼関係の証でもあります。
- 基本項目(請求元・請求先・金額・振込先・期日)を押さえる
- 消費税・インボイス制度に対応する
- 源泉徴収を正しく処理する
- テンプレートやクラウドサービスで効率化する
最初は難しく感じるかもしれませんが、仕組み化してしまえば毎月10分ほどで作成可能になります。エンジニアとして開発に集中するためにも、請求書作成は早めに自動化・効率化してしまいましょう。
👉 請求書は「お金を稼ぐための最後のステップ」。ここをしっかり押さえて、安心してフリーランスライフを送ってください。

