はじめに
フリーランスエンジニアとして活動していると、最初は個人開発や小規模案件から始める人が多いでしょう。しかし、単価が高く、継続的な収入につながりやすいのはチーム開発案件です。
エージェントを通じて紹介される案件の多くもチーム開発であり、企業のプロジェクトにフリーランスとして参画するスタイルが主流です。ですが、個人開発の延長線の感覚で臨むと「想像以上に大変だった」と感じることも少なくありません。
本記事では、これからチーム開発案件に参加しようと考えているフリーランスエンジニアに向けて、事前に知っておくべきポイントを整理します。
1. 個人開発とチーム開発の大きな違い
(1) コードは「自分だけのもの」ではない
個人開発では、自分が理解できればコードが動けば十分です。しかしチーム開発では、他人が読めるコードを書くことが求められます。可読性・保守性が重視され、独自ルールや自己流の書き方は歓迎されません。
(2) スケジュールは自分だけの都合で決められない
チームで動く以上、タスクや納期は他のメンバーと連動します。自分の遅れがそのまま全体に波及するため、責任感と自己管理能力が必要です。
(3) 技術力だけでは不十分
チーム開発ではコミュニケーション力や協調性も評価の対象です。スキルが高くても連携が取れないと「一緒に仕事したい人」にはなれません。
2. 知っておくべき開発環境・ツール
チーム開発に参加すると、個人開発ではあまり使わなかったツールやフローが必ず出てきます。
- Git / GitHub / GitLab:ブランチ運用、Pull Request、レビュー文化
- タスク管理ツール:Jira、Backlog、Trelloなど
- コミュニケーションツール:Slack、Teams、Discord
- CI/CDツール:GitHub Actions、CircleCI、Jenkins
これらは使い方だけでなく「チームとしてのルール」に沿って活用できるかが重要です。
3. コードレビュー文化への適応
チーム開発ではコードレビューが必須です。
- レビューを受けるときは指摘を素直に受け入れる
- レビューをする側では、丁寧で建設的なコメントを心がける
- 「なぜその実装にしたのか」を説明できるようにする
レビューは単なるチェックではなく、チーム全体の品質を高める文化。プライドを捨てて学ぶ姿勢が成長につながります。
4. コミュニケーションの重要性
(1) 報連相を徹底する
- 報告:進捗や成果を共有
- 連絡:予定変更や体調不良を早めに伝える
- 相談:つまずいたら早めに質問する
特にリモート案件では、黙っていると「何も進んでいない」と誤解されやすいです。小さなことでも共有するのが信頼につながります。
(2) オンライン特有の注意点
リモート開発では文字ベースのやり取りが多く、誤解が生じやすいです。なるべく結論から伝える・簡潔に伝えることを意識しましょう。
5. 契約上の確認ポイント
チーム開発案件に入る前に、契約内容も確認しておく必要があります。
- 稼働日数・時間(週5フルタイムか、週3など)
- リモート可否(フルリモートか、出社日ありか)
- タスク単位か工数単位か(準委任契約が多い)
- 機密保持契約(NDA)の範囲
- 成果物の権利(著作権の帰属)
ここを曖昧にすると、後から「思っていた働き方と違った」とミスマッチにつながります。
6. チーム開発案件で信頼を得るための行動
- レスポンスを早くする:Slackの返事はできるだけ即時に
- タスクを期限通りに終える:小さな納期を守ることが信頼構築につながる
- 不明点を放置しない:分からないまま進めるより早く聞いた方が評価される
- レビューを前向きに活用する:成長の機会と捉える
これらを徹底すれば、技術力以上に「安心して任せられる人」として評価され、継続案件や新規案件にもつながります。
まとめ
チーム開発案件に参加する前に知っておくべきことは、大きく分けて次の通りです。
- 個人開発と違い、コードはチームで共有するもの
- Git、タスク管理、コミュニケーションツールの活用が必須
- コードレビューは文化であり成長のチャンス
- 報連相を徹底し、オンラインでは誤解のない伝え方を意識する
- 契約条件を事前に確認し、ミスマッチを防ぐ
- 技術力より「信頼できる行動」が案件継続のカギ
👉 フリーランスエンジニアとしてステップアップするなら、チーム開発案件への参加は避けて通れません。
スキルだけでなく、協調性・責任感・柔軟な姿勢を磨くことで、長期的に安定したキャリアを築けるはずです。

