はじめに
エンジニアとして働いていると、避けて通れないのが英語の技術文書です。
公式ドキュメント、GitHubのREADME、Stack Overflow、海外カンファレンスの資料…。どれも一次情報は英語で提供されることが多く、日本語の翻訳が追いつかないケースも多々あります。
フリーランスとして案件をこなす中でも、最新の技術やライブラリをキャッチアップするには「英語を直接読む習慣」があるかどうかで大きな差が出ます。とはいえ「英語は苦手だから…」と後回しにしてしまう人も少なくありません。
この記事では、私自身が実践している英語で技術文書を読む習慣の作り方を紹介します。
1. 完璧を目指さず「ざっくり理解」で始める
最初に大切なのは、「全部正確に訳さないと理解できない」という思い込みを捨てることです。
技術文書において重要なのは「全体像をつかむこと」であり、ネイティブのように完璧に理解する必要はありません。
例えば以下のような読み方で十分です:
- 見出しとサンプルコードを中心に読む
- キーワード(例:authentication, deployment, deprecated)だけを拾う
- わからない単語は後回しにして流れをつかむ
この「完璧主義を捨てる」ことが、習慣化の第一歩です。
2. 毎日のルーティンに組み込む
習慣化のコツは「小さな積み重ね」です。おすすめは以下の方法です:
- 毎朝10分だけ公式ドキュメントを読む
出勤前や仕事開始前に「昨日使ったライブラリのドキュメントを1ページ読む」と決める。 - 開発中に調べ物をしたら必ず英語版もチェックする
たとえ日本語の記事で答えが見つかっても、必ず公式の英語文書を確認する習慣をつける。 - 休日に好きな技術分野の記事を1本読む
負担を減らすために、自分が興味のあるテーマを優先すると続けやすいです。
短時間でも「毎日触れる」ことが習慣化の鍵です。
3. 翻訳ツールをうまく活用する
最初からすべて英語で理解しようとすると挫折します。翻訳ツールを前提に使うのは全く問題ありません。
- DeepL翻訳やGoogle翻訳をブラウザに組み込む
ワンクリックで日本語化できる環境を整える。 - VS Code拡張機能でドキュメント翻訳
開発中でも手間なく翻訳できるようにする。 - 「翻訳 → 英語原文を確認」という順序
先に日本語でざっくり理解し、そのあと原文を見直すと英語の学習効果も高まります。
重要なのは「ツールに依存してもいいから読み続ける」ことです。
4. 実際のコードとセットで読む
文章だけを読むよりも、サンプルコードを実際に動かしながら読む方が理解が進みます。
例えばReactやSwiftUIのドキュメントを読む際:
- まずコードをコピーして動かしてみる
- 結果を見ながら「この部分の説明はこういう意味か」と照らし合わせる
「文章 → コード → 実行結果」の流れで理解すると、自然に英語の用語が頭に残ります。
5. 自分のアウトプットに活かす
ただ読むだけでなく、学んだことをアウトプットすると習慣が定着します。
- 読んだ英語ドキュメントをもとに日本語ブログ記事を書く
- TwitterやXに要約を投稿する
- チームやSNSで「この英語記事にこう書いてあった」と共有する
アウトプットの場があると「読む動機」が生まれるので継続しやすいです。
6. 最初に取り組むべき教材・ドキュメント例
「何から読めばいいかわからない」という人向けに、取り組みやすい題材をいくつか挙げます。
- GitHubのREADME
多くは短く、コード例が豊富なので理解しやすい。 - 公式チュートリアル
React, Vue, Django, SwiftUIなどの公式チュートリアルは文章がシンプルで学習に最適。 - Stack Overflowの回答
英語表現は簡潔で技術用語が中心。実践的なフレーズを学べます。 - MediumやDev.toの技術記事
英語圏エンジニアが日常的に書く記事なので、自然な表現に触れられます。
最初から分厚いリファレンスを読むより、短文+コード付きの教材から始めるのがおすすめです。
まとめ
英語で技術文書を読む習慣を作るには:
- 完璧を目指さずざっくり理解
- 毎日のルーティンに少しずつ組み込む
- 翻訳ツールをうまく活用する
- コードとセットで読む
- アウトプットで定着させる
- 読みやすい教材から始める
英語力は一朝一夕で身につくものではありません。しかし、「毎日少しだけ読む」ことを続ければ、数か月後には「英語ドキュメントを読むのが当たり前」になっているはずです。
AI時代だからこそ、一次情報に直接アクセスできるエンジニアは強い。英語を読む習慣を作ることが、フリーランスにとって大きな武器になります。

