はじめに
フリーランスとして独立すると、仕事の場所を選べる自由があります。
「東京に住み続けるか?」「地方移住でコストを下げるか?」は、多くのフリーランスが一度は考えるテーマでしょう。
特に最近はリモートワークが当たり前になり、地方移住を選ぶエンジニアも増えています。
しかし、生活コストやキャリアの影響を具体的にイメージできず不安になる人も多いのではないでしょうか。
今回は、筆者(フリーランスエンジニア)が実際に東京23区在住時と地方都市在住時の生活コストを比較し、リアルな数字を公開します。
「どのくらい差が出るのか」「移住のメリット・デメリット」を解説します。
1. 都市部(東京)と地方の生活コストの違い
1-1. 家賃が圧倒的に違う
- 東京23区(1LDK・駅徒歩10分):約12〜14万円
- 地方都市(例:福岡市・仙台市・金沢市など同条件):約6〜8万円
- 郊外・地方中核都市(車必須):約4〜6万円
家賃だけで月5〜8万円の差が出ることも珍しくありません。
地方は同じ家賃でも部屋が広く、駐車場付きの物件も多いです。
1-2. 食費は意外と大差なし
- 自炊中心:月3〜4万円(どちらも大きく変わらない)
- 外食:東京は高め(ランチ1,000〜1,200円、地方は700〜900円)
- スーパーの食材は地方の方がやや安い印象
食費は自炊が多ければほぼ同じですが、外食が多い人は東京の方が高くなりがちです。
1-3. 通勤・交通費
- 東京:電車代がかかる(定期代1〜2万円/月)
- 地方:車が必須。ガソリン代・駐車場・保険・車検などを考えると月2〜4万円程度
→ 地方は車の維持費がかかるので、交通費は意外と安くならないことがあります。
1-4. 水道光熱費
- 東京:電気+ガス+水道=月1.2〜1.5万円
- 地方:寒冷地では暖房費が高くなる(2〜3万円になることも)
- 温暖な地域ならむしろ安くなる
地域差が大きいですが、冬が寒い地域は都市ガスが使えず高くなる傾向があります。
1-5. インターネット・通信費
- 東京/地方ともにほぼ同じ(光回線5,000円前後、スマホ代5,000〜8,000円)
通信環境は地方でも整ってきており、リモートワークには問題ないことが多いです。
2. リアルな月間収支例
2-1. 東京23区・一人暮らし(リモートワーク)
| 項目 | 金額(円) |
|---|---|
| 家賃(1LDK) | 130,000 |
| 食費 | 40,000 |
| 光熱費・水道 | 13,000 |
| 通信費(スマホ+光) | 10,000 |
| 交通費(週数回外出) | 10,000 |
| 交際・娯楽費 | 30,000 |
| 雑費・日用品 | 10,000 |
| 合計 | 243,000 |
2-2. 地方都市(福岡・仙台・金沢など)・一人暮らし
| 項目 | 金額(円) |
|---|---|
| 家賃(1LDK駐車場付) | 70,000 |
| 食費 | 35,000 |
| 光熱費・水道 | 12,000 |
| 通信費(スマホ+光) | 10,000 |
| 車関連(ガソリン・保険・駐車場) | 25,000 |
| 交際・娯楽費 | 25,000 |
| 雑費・日用品 | 10,000 |
| 合計 | 187,000 |
→ 月約5〜6万円の差。年間だと60〜70万円節約可能。
3. 生活コスト以外に考えるべきこと
3-1. 仕事の機会
- 都市部:案件数が圧倒的に多く、直接打ち合わせの必要がある仕事も取りやすい
- 地方:リモート案件なら問題ないが、出社必須の案件は減る
→ エージェント案件を中心に動く人は、都市部に住んでいる方が高単価の仕事にアクセスしやすいです。
3-2. ネットワーキングの機会
- 都市部は勉強会・Meetup・コワーキングでの人脈作りがしやすい
- 地方はコミュニティが限られやすい
キャリアアップや転職を視野に入れるなら、都市部の方が情報・出会いが豊富です。
3-3. 生活の利便性
- 都市部:交通・医療・娯楽・文化的施設が充実
- 地方:生活費は安いが、移動が車中心になりやすい
3-4. 家族やライフスタイル
- 子育てや広い住居を求めるなら地方の方が有利
- 独身・交流重視なら都市部の方が刺激が多い
4. フリーランス視点の判断ポイント
4-1. 収入が安定しているか
- 案件が完全リモートで継続的にあるなら地方移住も現実的。
- 都市部の案件依存が強い人は、出社要請や対面MTGが必要になったときに不便。
4-2. コスト削減のインパクト
- 年間60〜100万円の節約は大きい。
- 生活コストを下げると、案件の選択肢を広げたり学びに投資する余裕ができます。
4-3. キャリアと人脈
- 若手〜中堅は都市部でネットワークを築くのも重要。
- スキルや実績が固まってからの地方移住はリスクが少ない。
4-4. 家族構成やライフプラン
- 子どもの教育環境・医療環境・親のサポートなども考慮が必要。
5. 筆者の実体験から
筆者は都内でフリーランスを数年した後、地方都市へ移住しました。
- 家賃は13万円 → 7万円へ。年間72万円の節約。
- 外食費はやや下がり、車の維持費が月2.5万円かかるが、それでもトータルで毎月約5万円安くなりました。
- リモート案件中心なら問題なく働けるが、新規のつながりやハイクラス案件はやや探しにくいと感じます。
- 学びや交流の場はオンライン化が進んだが、オフラインの機会は都市の方が圧倒的に多いです。
まとめ
地方移住は生活コストを大幅に下げる有力な選択肢ですが、キャリア面や人脈形成にはデメリットもあります。
特にフリーランスエンジニアが考えるべきは以下のポイントです。
- 家賃差は年間60〜100万円レベル。コスト削減効果は大きい
- 交通費(車)や光熱費は地域差があるので計算しておく
- リモート案件が安定していれば地方でも問題なし
- キャリア初期やネットワーク重視なら都市部が有利
- 家族構成やライフプランによってベストな選択が変わる
「収入が安定した」「都会の利便性より生活コストを抑えたい」「広い家でゆとりを持ちたい」という人には、地方移住は強い選択肢になります。
一方、案件獲得や人脈形成を重視する段階では、都市部に残る方がキャリア形成の近道になるでしょう。

