DjangoとFlask、フリーランス案件で求められるのはどっち?

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はじめに

PythonはAIやデータ分析だけでなく、Web開発でも人気が高い言語です。
Webアプリ開発の主要フレームワークといえば DjangoFlask
どちらも知っていると便利ですが、フリーランス案件でより需要が高いのはどちらなのでしょうか。

本記事では、実際の案件市場の傾向・開発現場の違い・フリーランスとしてのキャリア戦略の観点から、DjangoとFlaskの使われ方と需要のリアルを解説します。


1. DjangoとFlaskの基本的な特徴

Django

  • フルスタックフレームワーク
    認証、管理画面、ORM、テンプレート、セキュリティ対策などWeb開発に必要な機能を標準搭載。
  • 大規模〜中規模プロジェクト向け
    構造がしっかりしており、チーム開発や業務システムで使われることが多い。
  • 「設定より規約」を重視
    プロジェクト構成が統一されやすく、複数人での開発・保守に向いている。

代表例:ECサイト、業務管理システム、SNS系、予約・在庫管理システムなど。


Flask

  • マイクロフレームワーク
    最低限の機能だけを提供し、必要に応じて拡張していくスタイル。
  • 小規模〜中規模プロジェクト向け
    APIサーバーや簡易的なWebサービス、PoC、スタートアップの初期開発などで活躍。
  • 自由度が高い
    設計や使用するライブラリを自分で選びやすいが、チーム開発では統一感を作る工夫が必要。

代表例:社内向けツール、データ可視化ダッシュボード、PoC・MVP、APIサーバーなど。


2. 案件市場での需要比較

2-1. 案件数は Django が優勢

フリーランスエージェントやクラウドソーシングの案件を調べると、
Django案件の方がFlaskより多いのが現状です。

  • Django:中〜大規模Webアプリ開発案件、月単価60〜80万円程度が中心
  • Flask:データ分析基盤・APIサーバー構築・PoC案件など。単価は50〜70万円程度が多い

理由は以下の通り:

  • Djangoは企業の業務システムや商用サービスで採用実績が多い
  • 管理画面やユーザー認証など、商用開発で必要な機能が揃っている
  • Python×Web開発では「まずDjango」という企業が多い

2-2. スタートアップ・AI系では Flask のニーズあり

一方、AIやデータサイエンス系のプロジェクトでは、FlaskがAPI提供やPoC用として使われることがよくあります。

  • 機械学習モデルをAPI化して社内ツールや外部サービスに提供する
  • MVP開発(最小限の機能を素早くリリース)
  • 内部ダッシュボードの構築

このため、AI系やデータ分析の知識がある人にとってはFlaskも重要です。


2-3. 単価・報酬の傾向

  • Django:
    • 月60〜90万円クラスの案件が比較的多い
    • 常駐・フルリモートいずれもあり。管理画面やEC系など業務システム案件が中心
  • Flask:
    • 月50〜75万円程度が多い
    • フルリモートが比較的多いが、プロジェクト期間が短めな傾向あり

安定して継続的に稼ぎたいならDjango、尖ったAI・スタートアップ系ならFlaskといった棲み分けになっています。


3. フリーランスが選ぶべき学習・戦略

3-1. 安定案件を狙うなら Django

  • 中〜大規模Webアプリや業務システム開発に強い
  • 認証、管理画面、ORM、フォームなどを使いこなせると市場価値が高い
  • JavaやPHPのシステムをPythonにリプレースする案件も増加中

特に「Webアプリ全体を任せられるフリーランス」を目指すなら、Djangoは外せません。


3-2. データ系・AI系と組み合わせるなら Flask

  • 機械学習モデルをWeb API化する案件ではほぼFlask(またはFastAPI)を使う
  • データ分析やAI開発ができるエンジニアがFlaskでAPIを作れると高く評価される
  • MVPやPoCを素早く作りたいスタートアップに向いている

AIやデータサイエンスを軸にするなら、FlaskやFastAPIもセットで学ぶのがおすすめです。


3-3. Django + FastAPI が現場のトレンド

最近では、従来Flaskが使われていた領域がFastAPIに置き換わりつつあります。
非同期処理や型サポートが強力で、モダンなAPI開発の定番になりつつあります。

  • 安定案件用:Django
  • モダンなAPI開発:FastAPI(Flask互換の知識が活きる)

という形で、両方学んでおくと市場での価値がさらに高まります。


4. 案件選びのチェックポイント

  • 開発フェーズ
    → 新規サービスやPoCはFlask/FastAPI、大規模運用や長期開発はDjango
  • チーム構成
    → チーム開発・保守が前提ならDjangoが有利
  • 期間と単価
    → 長期・安定した収入を得たいならDjango
  • 業種
    → AI・データ系はFlask、SaaS・業務システム系はDjangoが多い

5. 筆者の経験から

筆者はフリーランスとして両方の案件を経験しました。

  • Django案件
    既存サービスの追加機能、管理画面拡張、認証まわりの改修など。
    長期で安定して月70〜80万円の単価が見込める案件が多かったです。
  • Flask案件
    AIモデルのAPI化やデータ可視化ツールのPoC。
    リモート・短期で動きやすいが、3か月程度の短期契約が多く、単価もやや低めでした。

→ **収入の安定と長期案件を重視するならDjango、尖った領域や新規開発のスピード感を楽しむならFlask(またはFastAPI)**という印象です。


まとめ

フリーランス案件での需要を整理すると以下のようになります。

  • Django
    • 案件数が多く、単価も比較的高い
    • 大規模・長期・安定したWeb開発で採用されやすい
    • 業務システムやSaaS系を狙うなら必須スキル
  • Flask
    • AI・データ系・スタートアップの新規開発に強い
    • 短期やPoCの案件が多く、自由度が高い
    • 最近はFastAPIに置き換わる傾向も

結論:安定的に稼ぎたいならまずDjango、データ・AIと組み合わせて尖りたいならFlask(+FastAPI)を学ぶのがおすすめ。

スキルセットとしては「DjangoでしっかりしたWebアプリを作れる」+「Flask/FastAPIで軽量APIも作れる」が最もフリーランス市場で強い組み合わせです。

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