— 突然の契約終了を乗り越えた実体験と再起のヒント —
フリーランスとして活動していると、誰もが一度は経験するかもしれないのが**契約解除(契約終了の通告)**です。
筆者も独立2年目にして、クライアントから突然の契約終了を告げられたことがあります。
「仕事がなくなった」「収入が途絶える」「自分に問題があったのかもしれない」――
当時はかなり落ち込みましたが、結果的には新しい働き方を見つけ、以前より安定した収入を得られるようになりました。
今回はその実体験をもとに、契約解除後のメンタルの立て直し方、収入面の対処法、再スタートの戦略を共有します。
突然の契約解除 — 何が起きたか
当時のメイン案件は、国内スタートアップのモバイルアプリ開発。
週5フルリモート・月単価80万円で、1年以上続いていました。
ある日、PMとの定例ミーティングでこう告げられました。
「事業方針が変わり、外部リソースを減らすことになりました。来月末で契約を終了したいです。」
理由は事業戦略の変更によるコスト削減。
自分のパフォーマンスが原因ではなかったものの、正直ショックでした。
- メイン収入が突然なくなる不安
- 今後の予定や生活資金への焦り
- 「やっぱりフリーランスは不安定だな」という気持ち
特に、収入がほぼ1社依存だったことが精神的なダメージを大きくしました。
まずやったこと — メンタルと生活の安定化
1. 感情を整理する
最初は「自分のせいではない」と頭では分かっていても、気持ちは沈みます。
無理にポジティブになろうとせず、数日間は落ち込む時間を許しました。
- 「悔しい」「不安だ」という感情を書き出す
- 信頼できるフリーランス仲間や家族に話す
- SNSで愚痴るのではなく、冷静に振り返る時間を確保
これで気持ちが少し落ち着き、「次を探そう」という思考に切り替えられました。
2. 生活防衛資金を再確認
まずはキャッシュフローを整理。
幸い、半年分の生活費を貯蓄していたため、焦って条件の悪い案件を受ける必要はありませんでした。
- 固定費を見直す(サブスク・交際費など)
- 税金・社会保険の支払い予定を把握
- 最低限の生活費を計算して安心感を得る
教訓:フリーランスは「6か月分の生活費」くらいの余裕資金があると精神的にかなり楽です。
3. 契約書を見直す
解除条項を確認し、残りの稼働分の支払いがどうなるかをチェックしました。
今回は30日以上前の通知だったため、翌月分の報酬はしっかり受け取れることを確認。
ここで契約条件を把握しておくと、安心して次の行動に移れます。
仕事を再開するためにやったこと
1. エージェント・プラットフォームをすぐに活用
複数のフリーランスエージェントに登録・更新しました。
- レバテックフリーランス(モバイル案件が豊富)
- Midworks(週3〜4案件が見つかる)
- 海外プラットフォーム Upwork / Toptal(英語案件も視野に)
レジュメをアップデートし、ポートフォリオや実績を整理。
「すぐ稼働できる」とアピールしたところ、1〜2週間で複数の面談が入りました。
2. 自分の強みを整理し直す
契約解除のタイミングはスキルと実績を棚卸しするチャンスです。
- iOS(SwiftUI)のUI実装経験
- ASO・多言語対応・広告実装でDL数と収益を改善した実績
- フルリモートでの自主的な進行力
これをベースに、単価を少し上げた条件でも応募できるようにしました。
3. 小さな案件からリズムを取り戻す
いきなり週5の大規模案件ではなく、まずは週2〜3日のタスクベース案件を受注。
これで収入の一部を確保しながら、次のメイン案件を探しました。
4. ネットワークを使う
以前一緒に仕事をしたPMやエンジニア仲間に「今新しい案件を探している」と声をかけました。
意外とここから紹介があり、結果的に1か月後に条件の良い新しいメイン案件が決まりました。
再起の過程で学んだこと
1. 1社依存はリスクが大きい
フリーランスにとって「収入源が1つだけ」というのは非常に不安定です。
この経験以降は、週5案件+週1〜2のサブ案件を並行して持つようにしました。
これにより、1社終了しても収入が半減で済みます。
2. 解除条項の重要性
契約書に以下のような内容があるかを必ず確認するようになりました。
- 通知期間(30日以上か)
- 解除時も作業済み分が支払われるか
- 即時解除の条件が不利すぎないか
特に海外案件では「At-will termination(いつでも解除可能)」のリスクがあるため注意が必要です。
3. 自己ブランディングが効く
ブログやZenn、Qiitaでの発信をしていたことで、自分のスキルを証明できる材料があったのは大きな助けになりました。
面談時にも「この技術記事を見て依頼したいと思った」と言われることが増え、営業が楽になります。
4. ネットワークは財産
過去に仕事をした人と良好な関係を保っておくと、次の仕事を紹介してもらえることがあると実感しました。
「契約終了=人間関係の終了」ではなく、プロとして最後まで丁寧に対応することが大切です。
5. 心理的な耐性がつく
初めての契約解除はショックですが、経験してみると「また起きても大丈夫」という耐性がつきます。
生活防衛資金とネットワークがあれば、フリーランスは思ったよりしなやかに立ち直れます。
これから同じ状況になりそうな人へ
- まずは落ち込んでもいい:気持ちを整理する時間を取る
- 生活費の確認を最優先:半年分の貯金があれば焦らなくて済む
- 契約書を確認:支払い条件・通知期間を把握して安心する
- すぐにエージェント・ネットワークに連絡:仕事探しを同時に動かす
- 小さな案件でも良いので再始動:収入と自信を取り戻す
- 発信・実績公開を続けておくと次が探しやすい
まとめ
- フリーランスは、事業方針変更や予算削減など自分ではコントロールできない理由で契約解除されることがある
- 立ち直るためには
- まず感情と生活を安定させる
- 契約内容を確認し、支払いを把握する
- エージェントやネットワークを使ってすぐ動く
- 小さな案件でリズムを取り戻しながら次を探す
- 長期的には、複数収入源の確保・自己ブランディング・人脈作りが最大のリスクヘッジになる
筆者にとってこの経験はつらかったですが、結果的にはキャリアの転機になり、より自由度の高い働き方に進むきっかけになりました。
フリーランスは一度や二度の契約終了では終わりません。
むしろそこからの立ち直り方が、次のステップを大きく変えてくれます。

