フリーランスとして案件探しをするとき、多くの人がまず利用するのが「エージェント」です。案件紹介・契約サポート・単価交渉・支払い代行など、エージェントは初めての独立でも心強い存在になります。
しかし、フリーランス界隈でよく聞くのが 「担当者ガチャ」 という言葉。
「同じエージェントでも担当によってサポート力が全然違う」「親身に動いてくれる人と、ただ条件を流してくるだけの人の差が激しい」──そんな声をSNSや知り合いから聞いたことがあるかもしれません。
では、担当者ガチャは実際にあるのか? そして、初めてのエージェント利用時にどうやって“当たり”の担当者を見極めるか、フリーランスエンジニアとしての経験からまとめます。
なぜ「担当者ガチャ」が起こるのか
まずは構造的な理由から理解しておくと、エージェント選びがしやすくなります。
1. 担当者のスキル・経験差が大きい
エージェントの担当者(キャリアアドバイザーやリクルーター)は、IT業界経験者もいれば、全く別業界から転職してきたばかりの人もいます。
エンジニアリングの基本を理解している人なら、要件を深くヒアリングしてくれたり、スキルマッチを的確に判断してくれますが、経験の浅い担当だと「キーワード一致」で案件を持ってくるだけになりがちです。
2. ノルマ重視か、長期関係重視かの違い
営業目標(成約件数・売上)を強く意識している担当者は、短期で決まりそうな案件を急かして紹介してくる傾向があります。
一方で、フリーランスのキャリア全体を見て単価アップや希望条件を考えてくれる担当者もいます。会社の方針や個人の営業スタイルによって大きな差が生まれるのです。
3. エンジニアの市場価値次第で態度が変わることも
残念ながら、市場で“売れやすい”スキルセット(例:モダンWeb、モバイルアプリ、クラウド経験など)を持っているかどうかで担当者の温度感が変わることがあります。人気技術スタックを持つエンジニアほど、サポートが手厚くなるケースは少なくありません。
サポート力の高い担当者に共通する特徴
では、良い担当者=当たりを引いたときはどんな印象を持つか。実体験と他のエンジニアの声から、共通するポイントを挙げます。
- ヒアリングが丁寧で深い
ただ「単価・勤務地・リモート希望」を聞くだけでなく、これまでのプロジェクト、得意領域、将来のキャリア、単価交渉の希望まで掘り下げてくれる。 - 技術用語が通じる/理解しようとする姿勢がある
SwiftUI・Kubernetes・TypeScript などを説明したときに理解度が高い、もしくはその場で確認・調べてくれる。 - 提案の質が高い
単なる大量案件の送りつけではなく、「この案件はあなたの実績○○に合う」「単価は○○円で交渉可能」など具体的な理由を添えてくれる。 - 返信が早く、進捗をこまめに共有してくれる
応募後のステータスを教えてくれたり、クライアントからのフィードバックをすぐ返してくれる。 - 契約・条件交渉に強い
単価交渉や契約条件の調整で、こちらの希望をきちんと伝えてくれる。必要に応じて「一緒に戦ってくれる」感覚がある。
これらが揃っている担当者だと、案件探しが格段に楽になります。
初回面談でサポート力を見極める質問リスト
エージェント登録後の初回面談は、こちらからも相手を見極めるチャンスです。以下の質問を投げてみると、担当者の実力や姿勢がわかりやすいです。
- 「これまでに同じ技術領域(例:iOSアプリ、SwiftUI)で案件をどのくらい紹介していますか?」
→ 自分の領域に詳しいかを確認。 - 「過去の成約単価のレンジを教えてもらえますか?」
→ 市場感を把握しているか、交渉力があるかの目安。 - 「単価交渉はどのように行いますか?エンジニアの希望をどこまで反映してくれますか?」
→ 交渉に積極的かどうかがわかる。 - 「クライアントとの契約・稼働中のトラブルが起きた場合、どのようにサポートしてもらえますか?」
→ トラブル時の対応力や会社の仕組みが見える。 - 「支払いサイトや契約条件はクライアントによってどの程度変わりますか?」
→ 条件の透明性を確認できる。
こうした質問をしたとき、嫌な顔をせず具体的に答えてくれる担当者は信頼しやすいです。
ガチャ外れを引いた場合の対処法
残念ながら、最初に当たりを引けるとは限りません。もし「この担当、合わないな…」と感じたら以下の対応を検討しましょう。
- 担当変更を依頼する
大手エージェントでは、サポート窓口に連絡すれば担当替えが可能な場合があります。遠慮せず相談してOK。 - 複数エージェントを併用する
1社に絞らず、2〜3社に登録して比較するのが定番の戦略です。対応スピードや提案の質が一目瞭然になります。 - フィードバックを正直に伝える
「もっとこういう案件が欲しい」「返信が遅いと困る」と率直に伝えると、改善してくれる担当もいます。 - 実績を増やして“選ばれる側”になる
技術力や実績が増えるとエージェント側の態度も変わります。少しずつ市場価値を上げていくのも長期的な対策。
エージェント選びで失敗しないための実践的なコツ
- 最初から1社に決めない
複数エージェントで面談し、担当者との相性を比べるのが最も確実。 - 担当者の知識レベルをチェックする
技術の話をしたときの反応をよく観察する。 - 口コミ・SNSを活用する
X(旧Twitter)やQiitaなどで「エージェント名+担当者」などを検索するとリアルな評判が拾える。 - 支払いサイト・マージンなどの条件を同時に比較
サポート力だけでなく、契約条件もセットで判断する。 - キャリア相談型のエージェントを活用する
すぐの案件紹介だけでなく、キャリア形成を意識してくれるエージェントは長期的に有益。
まとめ:担当者ガチャは存在するが、見極めは可能
- エージェントには担当者ごとの当たり外れ=「担当者ガチャ」が実際にある。
- 良い担当者はヒアリングが深く、技術理解や交渉力があり、進捗もこまめに共有してくれる。
- 初回面談の質問や複数エージェントの併用で、サポート力を見極められる。
- 外れを引いたら担当変更を依頼するか、他社と比較して乗り換えるのも選択肢。
フリーランスは孤独になりがちですが、良い担当者と出会えれば案件探しもキャリア形成もずっとスムーズになります。最初の一歩として「担当者を見る目」を養い、自分に合ったエージェントを選びましょう。

