フリーランスとして案件を探すとき、多くのエンジニアが最初に経験するのが「エージェント面談」です。
ここでいう“面談”は採用面接のように落とすためのものではありませんが、この面談の質によって、紹介される案件のレベルや単価が大きく変わるのは事実です。
初めてエージェントに登録するとき、私は正直「ざっくり経歴を話せば何とかなるだろう」と思っていました。ですが準備不足で臨んだ結果、希望条件とは違う案件ばかりを紹介され、単価交渉もうまく進まなかった苦い経験があります。
この記事では、私の経験や周囲のフリーランス仲間の声をもとに、エージェント面談で失敗しないための準備術をまとめます。これを押さえておけば、担当者に「この人はすぐに紹介したい!」と思ってもらえる確率がぐっと上がります。
なぜエージェント面談の準備が重要なのか
エージェント面談は就職面接とは少し性質が異なりますが、あなたの市場価値を“翻訳”する場だと考えるとわかりやすいです。
- 担当者はクライアントにあなたを提案する役割を持っている
あなたのスキル・実績・働き方を整理し、案件データベースとマッチングさせます。 - 面談の内容がそのまま提案資料になることが多い
面談中の情報をもとに、担当者はクライアント向けにあなたを紹介します。ここがぼやけていると条件がブレたり、単価を上げづらくなります。 - “この人は信頼できる”という印象が重要
スキルがあっても、受け答えが曖昧だと「現場でのコミュニケーションに不安がある」と判断されることもあります。
つまり、面談の準備は**“市場で自分を適切に売ってもらうための投資”**です。
面談前に準備しておくべき3つの軸
1. 職務経歴・スキルセットの整理
まずは自分の経歴を正確かつ魅力的にまとめましょう。
- 経歴を時系列で整理
「いつ、どのプロジェクトで、何を担当したか」をプロジェクト単位で簡潔に説明できるようにします。 - 技術スタックを最新化
SwiftUI、Kotlin、Reactなど、現在も使える技術を最新の状態でまとめましょう。 - 成果を数字で示す
「UI改善で離脱率10%減」「DL数10万突破」「広告収益○○円」など、具体的な数値を用意すると強力です。
例)
- 2023年4月〜2024年3月:教育系iOSアプリ新規開発
- SwiftUI / Combine / Firebase を使用
- UX改善を担当し、ユーザー満足度調査スコア+20%達成
この準備ができていれば、面談時の質問にスムーズに答えられます。
2. 希望条件の明確化
担当者はあなたの希望をもとに案件を探します。ここが曖昧だと、条件に合わない案件を紹介されやすくなります。
- 希望単価(例:月80〜100万円)
- 稼働日数・働き方(週3〜5日、フルリモート希望など)
- 案件タイプ(BtoC / 自社開発 / スタートアップなど)
- 優先度の高い条件は何か(単価・技術・働き方のどれを最優先するか)
例)
「週4〜5日フルリモート、単価80〜100万円を希望。iOS新規開発か既存アプリのグロースに強みがあります。」
“希望を言わない=何でもOK”と解釈されるため、最低限は数値を添えて伝えましょう。
3. ポートフォリオ・実績の見せ方
面談時にポートフォリオがあると説得力が一気に増します。
- 個人開発アプリのリンク(App Store、GitHub)
- 技術ブログやSNS(Qiita、Xなど)
- 成果物のスクリーンショットやデモ動画
視覚的な成果があると担当者の理解が早くなり、単価交渉でも有利です。
面談当日のコツ
✅ 第一印象とコミュニケーション
エージェント面談はラフな雰囲気でも、ビジネスの場であることを忘れないことが大切です。
- オンライン面談の場合は静かな環境・安定した通信を確保
- カメラONが基本(オフにすると印象が弱くなりやすい)
- 受け答えは端的に、かつポジティブな言い回しを意識
NG例:「それはやったことないです」
→ OK例:「直接の経験はありませんが、◯◯を使って似た実装をしたことがあり、すぐキャッチアップ可能です」
✅ 自己紹介の型を作っておく
冒頭の自己紹介でしっかり印象を残せると、その後の話がスムーズになります。
例)
「iOSアプリエンジニアとして7年経験があります。直近はSwiftUIを使ったUI開発やFirebaseを活用した分析改善を担当しました。個人開発アプリもリリースしており、ASOや収益化の知見もあります。今回は週4〜5日リモートの案件を希望しています。」
✅ 質問を逆に用意しておく
担当者に質問することで、情報を引き出しながら「この人はしっかりしている」という印象を与えられます。
- 「私のスキルで単価○○万円の実績はありますか?」
- 「この技術領域の案件は現在どのくらいの需要がありますか?」
- 「御社の紹介する案件はどのような商流が多いですか?」
よくある失敗とその回避法
| 失敗パターン | 回避法 |
|---|---|
| 経歴をざっくり話して終わる | 事前にプロジェクト単位で整理、成果を数字で添える |
| 希望条件を曖昧にしてしまう | 単価・働き方・案件タイプを明確に伝える |
| ポートフォリオがない | GitHub・個人アプリ・技術ブログでもOK、何かしら示す |
| 消極的な姿勢を見せる | 「学びながら成長できる」とポジティブに言い換える |
| 面談を“受け身”にしてしまう | 自分から質問を用意し、情報を引き出す |
面談後にやっておきたいこと
面談は終わったあとも重要です。
- 当日話した内容をメモに残す
単価の相場感や担当者のフィードバックは、他社と比較する際に役立ちます。 - プロフィールをアップデート
担当者から指摘された改善点をすぐに修正して再送すると印象が良くなります。 - 他エージェントとの比較材料にする
1社だけでなく複数社と面談すると、自分の市場価値や相場を客観的に知ることができます。
まとめ:面談は「案件を引き寄せるプレゼンの場」
- エージェント面談は“落とす”ためではなく、あなたを案件にマッチさせるためのプレゼンの場。
- 職務経歴・スキル・成果を整理し、希望条件を明確にして臨むと良い案件が集まりやすい。
- 面談当日はビジネス的な受け答えを意識し、ポートフォリオや実績を見せると単価交渉にも有利。
- 面談後は改善点をすぐ反映し、複数エージェントの情報を比較すると市場理解が深まる。
しっかり準備して臨めば、エージェント担当者から「この人はすぐに提案したい」と思ってもらえます。
結果的に、条件の良い案件に出会えるスピードも大きく変わってきます。
フリーランスの最初の一歩として、ぜひ面談準備を怠らず、自分を最大限アピールできる状態で挑みましょう。

