フリーランスとして案件を獲得する方法は大きく分けて 「エージェント経由」 と 「直営業(直接契約)」 の2つがあります。
どちらも一長一短があり、案件の取りやすさや単価、契約までのプロセスは大きく異なります。
私自身、独立当初はエージェント経由で案件を獲得していましたが、数年後に直営業に挑戦してみると、その難しさとメリットの両方を痛感しました。
この記事では、両方を経験して分かった難易度の違いと、それぞれに向いている人の特徴を整理します。
エージェント経由の案件とは
まずは、エージェント経由の案件の特徴から見ていきましょう。
エージェント経由のメリット
- 案件探しが圧倒的に楽
- 登録・面談をすれば、担当者があなたのスキルや希望条件に合った案件を提案してくれます。
- 自分で営業する必要がほとんどありません。
- 契約・単価交渉を代行してくれる
- 契約書の作成や支払いサイトの調整などをエージェントが担ってくれるので、法務知識がなくても安心です。
- 単価交渉も担当者が行ってくれるため、交渉が苦手でも大丈夫です。
- キャッシュフローが安定しやすい
- エージェントによっては、月末締め翌月15日払いなど、比較的早い支払いサイトを用意しています。
- 直請けより支払いが遅延するリスクが低いことも多いです。
- 市場情報を得やすい
- 今の技術トレンドや単価相場を担当者から教えてもらえるので、キャリア戦略を立てやすいです。
エージェント経由のデメリット
- 中間マージンが引かれる
- クライアントが100万円払っても、自分の手取りは80万〜85万円というケースが多いです。
- 案件の選択肢がエージェント依存
- そのエージェントが持っていない案件にはアクセスできません。
- 条件がやや硬直的になりがち
- 「週5常駐」がまだまだ多く、柔軟な働き方は限定的な場合があります。
難易度:★★☆☆☆(低〜中)
案件を獲得するまでの難易度は比較的低めです。
職務経歴をしっかり整理し、需要のあるスキル(Web系・モバイル・クラウドなど)を持っていれば、独立初期でもスムーズに仕事を得られる可能性が高いです。
直営業(直接契約)の案件とは
次に、エージェントを介さず、自分で企業と直接契約するケースです。
直営業のメリット
- マージンがない分、単価を最大化できる
- クライアントが100万円払えば、自分の手取りも100万円になります。
- エージェントを通さない分、交渉次第で条件を柔軟に決められます。
- 契約条件を自分でコントロールできる
- 支払いサイト、稼働日数、業務範囲などを直接交渉できます。
- 長期的な関係を築きやすい
- 直接信頼を得られれば、長期のパートナーとして安定的な仕事を継続できることがあります。
- 自分のブランド力を上げられる
- クライアントとの直契約は「自分で仕事を取れるエンジニア」という実績になり、将来的な独立や法人化に有利です。
直営業のデメリット(難しさ)
- 案件を自分で探さなければならない
- SNS発信、ポートフォリオ公開、ネットワーキング、営業メールなど、営業活動が必要です。
- 地方企業の場合は、案件情報がそもそも外に出ていないことも多いです。
- 契約・法務・請求管理を自分でやる必要がある
- 業務委託契約書の作成や確認、支払いサイトの交渉などを自分で対応する必要があります。
- 信用構築に時間がかかる
- 初対面の企業からすぐに信頼を得るのは難しく、実績がないと案件獲得まで時間がかかることがあります。
- 支払い遅延リスクがある
- エージェントがいない分、企業によっては入金が遅れる・支払条件が長い(翌々月末払いなど)ケースもあります。
難易度:★★★★☆(中〜高)
スキルだけでなく、営業力・交渉力・信頼構築力が必要です。
特に独立初期は実績やつながりがないため、案件を取るまでに時間がかかる場合が多いです。
難易度の違いを比較表で整理
| エージェント経由 | 直営業 | |
|---|---|---|
| 案件探し | エージェントが提案してくれる | 自分で営業・発信が必要 |
| 契約・法務 | エージェントが代行 | 自分で対応 |
| 単価 | マージンが引かれる(10〜20%程度) | 100%受け取れるが交渉必須 |
| 支払いサイト | 比較的安定、短めな場合あり | 要交渉、遅れる可能性あり |
| 難易度 | ★★☆☆☆(低〜中) | ★★★★☆(中〜高) |
| キャリア構築 | 案件が決まりやすく初期に最適 | 自己ブランディングが必要、上級者向き |
どちらを選ぶべきか? — ステージ別のおすすめ
🔰 独立初期:エージェント経由がベスト
- 実績が少ないうちはエージェント経由の方が圧倒的に仕事を取りやすいです。
- まずは1〜2社のエージェントに登録して、安定的な収入源を確保するのがおすすめです。
🟡 中級者:エージェント+直営業の併用
- エージェント案件で収入を安定させつつ、並行してSNS発信やポートフォリオ公開を行い、直営業のチャンスを探すフェーズです。
- 私もこの段階で、エージェント経由の案件をこなしながら地元企業に営業をかけ、初めての直契約を獲得しました。
🏆 上級者:直営業メイン+エージェント補助
- 実績が豊富でブランド力がついたら、直契約中心に切り替えると単価を最大化できます。
- ただし、空き期間を作らないよう、サブ的にエージェントにも登録しておくと安心です。
直営業を成功させるためのステップ
- まずは実績を作る
- エージェント経由の案件でも構わないので、数件の実績を積んで信頼のベースを作りましょう。
- ポートフォリオや実績を見える化
- 個人開発アプリ、GitHub、技術ブログ、成果物をまとめて公開する。
- SNSや技術発信で認知を広げる
- X(旧Twitter)やLinkedIn、noteなどで活動を発信する。
- 既存のコネクションを活用
- 元同僚や過去のクライアントからの紹介が最も成功率が高いです。
- 契約・支払い条件の基礎知識をつける
- 業務委託契約書、支払いサイト、源泉徴収の仕組みを理解しておくとトラブルを防げます。
まとめ:まずはエージェント、慣れたら直営業に挑戦を
- エージェント経由は案件獲得の難易度が低く、契約や支払いも安心。独立初期には最適。
- 直営業は自由度と単価の高さが魅力だが、営業力・交渉力・信頼構築が必要で難易度は高い。
- キャリア初期はエージェントで実績を積み、徐々に直営業を増やしていくのが現実的なステップ。
- 複数エージェント登録+SNS発信+コネクション活用が、直営業への橋渡しになる。
「まずは安定して案件を獲得したい」という方はエージェント経由から、
「収入を最大化したい」「自分のブランドで勝負したい」という方は直営業に挑戦、というようにキャリアステージに合わせて選ぶのが賢い戦略です。

