エージェント経由と直契約、どちらが本当に得なのか?【フリーランスエンジニア】

🏢 エージェント比較・案件獲得編

フリーランスエンジニアとして活動していると、必ず一度は悩むのが「エージェント経由で案件を取るべきか、それとも直契約で営業した方が得なのか?」という問題です。

どちらも一長一短があり、単純に「直契約=得」「エージェント経由=損」とは言い切れません。

この記事では、報酬・リスク・交渉力・安定性の4つの観点から、どちらが“本当に得”なのかを整理して解説します。


■ まず前提:「得」とは“単価だけ”ではない

フリーランスにとっての“得”とは、単純な収入額だけではなく、

  • 安定性(継続案件の取りやすさ)
  • 手間の少なさ(営業・契約・請求処理)
  • リスクの低さ(未払い・契約トラブル)
  • キャリア的な価値(経験・実績)

といった総合的なリターンで判断すべきです。

単価が高くても未払いリスクが高ければ意味がありませんし、

安定していてもスキルが伸びない案件なら長期的には損です。


■ エージェント経由の特徴とメリット・デメリット

◎ メリット

  1. 営業・契約の手間が不要 案件探し、商談調整、契約、請求書対応までほぼ全て代行してくれます。 フリーランスにとって時間は最大の資産。営業工数をゼロにできるのは大きな利点です。
  2. 支払い・契約が安定している 多くのエージェントはクライアントへの請求を一括で行い、エンジニアへの支払いを保証しています。 つまり「未払いリスクがほぼない」状態です。
  3. 継続案件・更新交渉がスムーズ エージェントが企業と継続交渉を行ってくれるため、長期案件を維持しやすいです。 契約更新時に単価アップ交渉も代行してもらえる場合があります。
  4. キャリア支援・案件紹介が早い 複数案件を同時提案してくれるため、空白期間を最小化できます。 特に独立初期には「最初の1社」を獲得するための足がかりになります。

◎ デメリット

  1. マージン(中抜き)が発生する エージェントの収益構造上、クライアントの支払額の10〜30%前後が手数料として引かれます。 例えば、企業が100万円支払っても、あなたの手元に入るのは70〜85万円程度です。
  2. クライアントと直接やり取りできない 契約窓口がエージェントのため、関係構築や条件交渉を自分でコントロールしづらい。 「信頼関係を直接築いて単価を上げたい」と考える人には物足りないかもしれません。
  3. 案件の自由度が低い 案件の種類や契約条件は、エージェント側の取引範囲に依存します。 nicheな分野や小規模スタートアップ案件は見つけづらい傾向もあります。

■ 直契約の特徴とメリット・デメリット

◎ メリット

  1. マージンがゼロ=報酬が最大化 企業からの支払額がそのまま収入になります。 例えばエージェント経由で70万円の案件が、直契約なら100万円になることも珍しくありません。
  2. 交渉・契約を自分でコントロールできる 契約条件・稼働日数・納期などをすべて自分の裁量で調整できます。 自分のペースで働きたい人には理想的な形態です。
  3. 信頼関係が築ければ長期的に安定 クライアントとの直接取引が続くと、継続依頼や紹介が発生しやすくなります。 実質的に“準社員的なポジション”で長く関わることも可能です。

◎ デメリット

  1. 営業・契約の手間が増える 案件を探し、条件交渉し、契約書を作り、請求・入金管理まで全て自分で行う必要があります。 開発時間以外の事務負担が大きくなります。
  2. 未払い・契約リスクがある 小規模企業・スタートアップなどでは支払いが遅延・未払いになるケースも。 契約内容の確認・印紙・請求管理を怠るとトラブルに発展します。
  3. 交渉に慣れていないと損をする エンジニアは技術面に強くても、営業・価格交渉の経験が少ない人が多いです。 強気に出すぎて案件を逃す、弱気で安く引き受けてしまう、というリスクがあります。
  4. 安定性が低い クライアント側の都合で契約が急に終了することもあり、空白期間が生まれやすいです。

■ 実際どちらが“得”なのか?パターン別で見る

① 独立初期(実績なし)

エージェント経由が圧倒的に有利

営業経験が乏しい時期は、案件を取りに行くよりも「開発に集中」した方が効率的。

エージェントを営業代行として使い、実績を積んでから直契約を狙うのが王道です。

② 中級者(経験2〜3年・実績あり)

併用が最強

信頼できる直契約を1〜2件キープしつつ、エージェント経由で補完する。

収入・安定・自由度のバランスが最も良い時期です。

③ 上級者(営業・契約にも慣れている)

直契約が最も利益率が高い

自分で交渉・契約ができるなら、直契約の方が圧倒的に有利。

ただし、未払い・法務リスクを避けるため、契約書のテンプレートや専門家監修を整えておくことが必須です。


■ エージェント→直契約への“移行ルート”を作るのが理想

「どちらが良いか」ではなく、

最初はエージェント経由で実績を積み、徐々に直契約比率を高めていく

のが最も効率的な戦略です。

  1. エージェント経由で信頼できる企業に参画
  2. 開発・納期・報連相で信頼を得る
  3. 契約終了時に「直接契約でも継続できますか?」と打診
  4. 直契約に切り替え、マージン分を上乗せ

実際、フリーランスの中にはこの流れで 月単価が20〜30万円上がった という事例も珍しくありません。


■ 最後に:収入だけでなく“自由度と安全性”のバランスで決めよう

項目エージェント経由直契約
収入(単価)中〜高
安定性低〜中
営業・事務負担
リスク(未払い・契約)
自由度

つまり、

  • 「安定・効率重視」ならエージェント経由
  • 「利益・自由重視」なら直契約
  • 両立したいなら併用

が最も現実的な答えです。


■ まとめ

  • エージェントは営業・契約を代行し、安定性を買う仕組み
  • 直契約は手間とリスクを取る代わりに利益率が最大化
  • 初期はエージェント、慣れてきたら直契約へ
  • 信頼関係を築けば、マージン分を上乗せして契約切り替えが可能
  • 「単価の高さ」だけでなく、「継続・安心・自由」のトータルで判断すべし

エージェントは“保険”、直契約は“投資”のようなもの。

両方を上手く使い分けられるエンジニアが、結局一番得をします。

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